研究課題/領域番号 |
20H02380
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
井上 朝哉 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 主任研究員 (10359127)
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研究分担者 |
鈴木 博善 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00252601)
和田 良太 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20724420)
勝井 辰博 神戸大学, 海洋底探査センター, 教授 (80343416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 海洋掘削 / 掘削データ / ドリルパイプダイナミクス / 機械学習 |
研究実績の概要 |
1.ドリルビット接地荷重変動解析において,ドリルパイプ縦振動数理モデルの構築を行い,過去に実施した科学掘削のドリルパイプ編成にて試解析を行った.大深度掘削においては、ドリルパイプ弾性影響により,船上掘削データにより推算・監視されているドリルビット接地荷重変動より大きな変動が生じることを示した. 2.ドリルビット挙動解析において,掘削地層の摩擦特性とドリルビットの接地荷重が支配的なパラメータとなる.そこで,ドリルパイプ上端変動の下端への伝搬縦振動を加味したドリルビット回転挙動数理モデルの構築を行い,仮編成にて数値解析を実施し,縦振動伝搬の有無によるドリルビット挙動の影響の考察を進めた. 3.計測融合解析に向けて,掘削データ取得システムの開発を開始した.掘削船の掘削システムに対応した,掘削データ取得装置のシステム概念検討,掘削データの取得インターフェイス規格やフォーマットの検討,掘削データの伝送プロトコルやフォーマットの検討,および、データ伝送受信インターフェイスの検討を行った上で,掘削データ取得を行う受信ソフトの開発を行った. 4.機械学習においては,教師データとなる過去の科学掘削航海における取得可能な船上掘削データや地層サンプルに関する情報の収集を行い,一部のデータを取得し,教師データの作成を開始した.また,掘削データを教師データとした,掘削地層予測に関する多クラス分類機械学習プログラムの開発を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドリルビット接地荷重変動解析,およびドリルビット挙動解析においては,計画通りに数理モデル化を進めて,掘削編成をもとにした試解析を開始し,パラメータ影響の考察を進めており計画通りの進捗を得ている. 機械学習においても,過去の科学掘削航海における船上掘削データや地層サンプルに関する情報の取得を開始し,掘削地層予測に関する多クラス分類機械学習プログラムの開発を行っており,計画通りの進捗を得ている. 一方で,計測融合解析に必要な掘削データ取得システムの開発においては,掘削船の掘削システムに対応したシステム開発が必要になるが,新型コロナウイルス感染症による影響により船上システムの調査に遅延が生じ,掘削データ取得装置の開発の一部に遅延が生じた.その後,順調にリカバリーを行い,当初の実施計画項目の開発を行った.
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今後の研究の推進方策 |
ドリルビット接地荷重変動解析,およびドリルビット挙動解析においては,計画通りに進めており,過去の科学掘削の一例を対象に解析し,ドリルパイプダイナミクスの考察を進める.また,ドリルパイプダイナミクスによる掘削操業状態把握に向けた考察,更には機械学習の学習データの組込に向けた検討を行う. 掘削データ取得システムの開発においては,掘削データのリアルタイム伝送システムの開発,および逐次受信したデータを用いたリアルタイム掘削データ融合解析の基本インターフェイスの開発を進める. 機械学習においては,過去の科学掘削航海の船上掘削データや地層サンプル情報を用いて,機械学習による地層予測を試行し,その可能性を考察する.更に,ドリルパイプダイナミクスを学習データに加えた機械学習を試行する.
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