研究課題/領域番号 |
20H02394
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
車谷 麻緒 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (20552392)
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研究分担者 |
上田 尚史 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20422785)
坂 敏秀 鹿島建設株式会社(技術研究所), 建築解析グループ, 主任研究員 (30443740)
岡崎 慎一郎 香川大学, 創造工学部, 准教授 (30510507)
小倉 大季 清水建設株式会社技術研究所, その他部局等, 主任研究員 (50624037)
山本 佳士 法政大学, デザイン工学部, 教授 (70532802)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 検証と妥当性確認 / 不確かさ / コンクリート / 数値シミュレーション / 代替モデル |
研究実績の概要 |
コンクリート構造物に対する数値解析のV&V(Verification and Validation:検証と妥当性確認)のうち,本年度は主にVerification(検証)に関する基礎的な検討を行った.曲げ破壊型の鉄筋コンクリートはりを対象に,コード検証を行うための方法について検討した.具体的には,オイラー・ベルヌーイの仮定に基づいて,材料の非線形性を考慮した鉄筋コンクリートはりの曲げ挙動を定式化し,限りなく理論解に近い参照解を導出した.この参照解と実験結果を比較し,物理的に妥当な参照解であることを確認した.鉄筋コンクリートはりの3次元非線形有限要素解析に対して,この参照解を利用してコード検証を行う方法についても検討を行い,コード検証として十分に適用可能であることを例示した. もうひとつのVerificationである解析検証についても基礎的な検討を行った.コード検証と同様に,曲げ破壊型の鉄筋コンクリートはりを対象とした.コンクリートのように破壊が生じる非線形問題では,数値解析結果がメッシュサイズに応じて収束するとは限らないため,分散分析を利用して,数値解析におけるメッシュサイズの影響を定量的に示す方法について検討した.実際に,鉄筋コンクリートはりの3次元非線形有限要素解析に対して,分散分析を利用した方法を適用した結果,課題はあるものの,解析検証が行えることを例示した. Validation(妥当性確認)において,不確かさを考慮した数値解析を効率よく行うための方法として,応答曲面法に基づく代替モデルの作成について,基礎的な検討を行った.具体的には,2次の重回帰式に基づく応答曲面とし,実験計画に基づいて回帰係数を求める方法を採用した.前年度に検討した線形の代替モデルと比較して,精度と計算コストの両面において良好な代替モデルとなることを例示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
鉄筋コンクリート構造物に対するコード検証に向けて,理論解に限りなく近い参照解を導出した.この参照解を用いて,実際にコード検証を行った事例を示した.また,鉄筋コンクリート構造物に対する解析検証に向けて,分散分析を利用した方法についても検討した.
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今後の研究の推進方策 |
コンクリート構造物に対する数値解析のV&V(Verification and Validation:検証と妥当性確認)において,Verification(検証)とValidation(妥当性確認)のそれぞれについて,基本的な検討を実施したので,解くべき問題を具体的に設定して,V&Vを実際に適用する研究を行う予定である.まずは,鉄筋のないコンクリート構造物の非線形有限要素解析を対象とし,課題とその対応策について整理する.次に,鉄筋コンクリート構造物に対しても同様の検討を行う予定である. これまでは主に数値解析に関する検討を行っており,実験に関する検討がやや不足しているため,V&Vに必要とされる不確かさを考慮した実験方法についても検討する必要がある.V&Vが適用可能な具体的な条件を検討し,複数の試験体を作製し,同条件で実験を行い,V&VにおけるValidationに特化したValidation実験について研究を進める予定である.
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