研究課題/領域番号 |
20H02417
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
多田村 克己 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (30236533)
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研究分担者 |
佐村 俊和 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (30566617)
福士 将 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50345659)
間普 真吾 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70434321)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リモートセンシング / 衛星SAR / 自然災害発災検知 / 機械学習 / 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク / 敵対的生成ネットワーク / テータベース |
研究実績の概要 |
サブテーマ毎に説明する. (1)差分データ生成手法開発とデータベース化については,発災判定小領域毎に独立したデータベースを構築し,構成要素である観測データ毎に抽出して記憶するフィールド構成を設計し,それらをオンラインで生成する方法について検討した.(2)緊急観測データの高速な加工手法と発災判定結果の高速生成・収集方法の開発については,最初の観測データ受信から最後の発災判定小領域の判定結果を出すまでをこのシステムのターンアラウンドタイムととらえ,サブテーマ(5)と連携してそれを最短とする処理の並列化手法を検討した.(3)自然災害発災識別器開発については,二種類の異なるアプローチの識別器開発と識別の際に利用する地形特徴抽出手法を開発を実施し以下の成果を得た.(3-a)二時期差分を利用して異常を検出する手法に関しては, 計算コストを抑えるようにネットワーク構造を調整した場合の識別性能を評価し,計算コスト抑制とノイズを含むデータに対しても識別性能を維持可能な手法を発表した.(3-b)正常データのみで学習して異常を検出する手法に関しては,SAR画像から災害領域を抽出する異常検知の研究を行った.(3-c)発災の識別に利用するDEMデータを基にした地形特徴から得られる情報の生成手法については,地上および地下開度の高精度計算手法をについて得られた成果をまとめて発表し,発表者が受賞(FIT2020奨励賞)した.(4)GANを利用した学習用データの生成手法開発に関しては,これまで別目的で開発してきた手法を利用するための基礎検討を行った.(5)統合オンライン処理システム構築に関しては,年度途中にシステムへのデータ投入口であるJAXAから山口大学に送信されるインタフェースの仕様が変更されることになったが,新インタフェースへの切り替えが完了しておらず,この部分の具体的な検討はできなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的にはおおむね当初の計画通りに進捗している.詳細については,サブテーマ毎に説明する. (1)差分データ生成手法開発とデータベース化については,PALSAR-2のオルソ補正済みのCEOSレベル2.1形式のデータに基づくことを前提とし,元データから抽出して記憶するフィールドと加工して記憶するフィールドについて整理し,オンラインでの加工方法の検討まで終了した.計画通りに進捗している.(2)緊急観測データの高速な加工手法と発災判定結果の高速生成・収集方法の開発については,サブテーマ(5)と密接に関連するが,JAXAから大学への送信部分との連携を除くすべての工程をオンライン処理化するための課題抽出は終了した.ほぼ計画通りに進捗している.(3)自然災害発災識別器開発とそれで利用可能な付加情報生成については,識別器を開発は二種類のアプローチそれぞれ進行中であり,計画通りに進捗している.また,付加情報生成に関しては,計画時には想定していなかった地上および地下開度の高精度計算手法を開発し,これを発災識別精度向上だけでなく地形特徴抽出に関する様々な分野で利用できそうであることから,想定以上の成果を得ることができた.(4)GANを利用した学習用データの生成手法開発に関しては,利用予定の別目的で開発中の手法が対外発表可能なレベルに到達した.ほぼ計画通りに進捗している.(5)統合オンライン処理システム構築に関しては,JAXA-山口大学間のデータ送信新インタフェースへの切り替えが完了しておらず,この部分の具体的な検討が未着手であり,計画よりも若干遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には,昨年度に引き続きサブテーマ間の連携を取りながら推進する.詳細については,サブテーマ毎に説明する. (1)差分データ生成手法開発とデータベース化については,昨年度に引き続きPALSAR-2のオルソ補正済みのCEOSlevel2.1形式のデータに基づくことを前提とし,今年度の検討結果をベースに季節性や天候の考慮の必要性などを加味した実装方法を検討する.(2)緊急観測データの高速な加工手法と発災判定結果の高速生成・収集方法の開発については,入力データのサイズが1GB/シーンであることから,観測データの受信から発災識別までの一連の処理の単純な並列化ではなく,すべての処理で並列化が可能なものを列挙し適宜部分的な実装と評価を行う必要があると考えられる.そこで,まず並列化の方針決定のための基礎データを収集する.(3) 自然災害発災識別器開発とそれで利用可能な付加情報生成については,昨年度に引き続き二種類のアプローチで識別器の開発を進める.付加情報に関しては,DEMデータからレーダーシャドウ領域を抽出する手法の改良とレイ・オーバ領域を求める手法の開発を進めるとともに,地形特徴を抽出する手法をそれぞれ開発していく. (4)GANを利用した学習用データの生成手法開発については,サブテーマ(3)の自然災害発災識別器の開発方向によっては,十分な学習データが揃えられる可能性があるが,引き続き既存手法の拡張可能性について検討する.(5)統合オンライン処理システム構築に関しては,先述のようにJAXA-山口大学間のデータ送信インタフェースが全面的に変更されたため,新インタフェースへの切り替えが完了次第,サブテーマ(2)の並列化と関連付けながらシステムのターンアラウンドタイム最小化の方策について検討を進める.
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