研究課題
2022年も富士山という場所を活用し大気電気に関連する以下の5つの研究を行い成果を得た。1) 富士山山体を測定器とした上向き雷の研究:2022年は,直撃雷大電流測定系でリーダと多重落雷が複数観測された。2) 雷雲・雷活動において発生する高エネルギー放射線:2022年は富士山頂観測を始めてから初めて地球ガンマ線フラッシュを3回観測した。これらはコンパクトリターンストロークと呼ばれる,地面から2 km以内に発生する雲から地面への負極製対地雷で、一般的に非常に強力なリターンストロークを有していたことがわかった。3) スプライトをはじめとする高高度大気中における放電現象:2022年夏期の観測では,関東地方で多数の雷放が観測されたものの,高高度放電発光現象の観測事例は少なく,7月27日1200~1400UTCに,13事例のスプライトがモノクロカメラにより観測されたのみであった。4)雷放電測定:Blitzortung.orgという、雷放電位置評定ネットワークを前年に続き導入した。本研究では夏季に山頂、通年で御殿場、太郎坊、富士ヶ峰に設置し、富士山周辺の落雷検知率を上げるための設置を行った。このデータの導入のおかげで、他の落雷データカタログとの比較評価の質が向上した。5) 新型広帯域大気電場測定機器の試験:雷雲から発生する静電気を測定するにはフィールドミルが使用される。晴天静穏時の地表での大気電場強度は約100 V/m程度と微弱であるが、富士山のような雷雲直下では100 kV/m以上に達するため、ワイドレンジに測定できる装置が必要である。そこで音羽電機工業株式会社は、1台のセンサーのみでワイドレンジ計測ができるフィールドミルを数年前に開発した。2022年は本機器の連続動作確認を行った。2022年の夏季は欠測も少なく動作が良好であることも確認できた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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