電子顕微鏡による動的三次元観察は、材料組織シミュレーションとのデータ同化が可能である点などから注目されつつある観察手法である。ただし、結晶欠陥である転位の動的三次元観察は、結晶性試料に対する電子線の入射方位が変わると転位が見えたり見えなくなったりするため、技術的な課題が多く、実現が遅れている。本研究では、転位が見える回折条件を保つという従来法に加えて、回折条件を一定に保たない代わりに多数枚の連続傾斜像を撮影するという方法により、塑性変形で結晶が回転しても特定の転位を三次元可視化し続けることが可能となる手法を開発し、転位の動的三次元観察が可能であることとその適用範囲拡大の可能性を実証した。
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