本研究において多種多様なネットワーク断片化ガラスの合成に成功したことは,こうしたガラスが特殊な例外ではなく,一般的な従来型ネットワークガラスの組成を拡張した領域に存在することを示している.ネットワークが断片化されたことで,より結晶に近い原子配列をとりやすくなったが,逆にガラス形成能が上がったという結果から,結晶のような最密充填構造からのずれが,長距離秩序を失わせ,ガラス形成に至ったという新たなメカニズムを提案した.ネットワーク断片化ガラスで見られた高い弾性率,熱伝導率,赤外透過性,磁気光学効果は,従来型のガラスでは想定できないレベルであり,基礎だけでなく応用の観点からも重要な成果が得られた.
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