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2020 年度 実績報告書

安心安全な社会の構築に向けての革新的抗ウイルス材料の創製と活性発現機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H02432
研究機関東京工業大学

研究代表者

中島 章  東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (00302795)

研究分担者 砂田 香矢乃  地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 光触媒グループ, 研究員(任期有) (20311433)
磯部 敏宏  東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20518287)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード抗ウイルス / 新型コロナウイルス / 薄膜
研究実績の概要

抗菌・抗ウイルス活性が発現することが確認されているLa2Mo2O9(LMO)のMoをCoやMnに置換した試料(LCoO, LMnO)を、錯体重合法、水熱法、沈殿法等により作製し、基本物性(結晶相、比表面積、表面組成等)を評価した。現在までにLCoO, LMnOについては単相粉の合成条件が把握でき、水中でのナフトール分解で活性評価を開始している。またLMOのLaをCeで置換した試料(CMO)を、錯体重合法、水熱法により複数種類作製し、基本物性(結晶相、比表面積、表面組成等)と抗菌・抗ウイルス活性を評価した。その結果、水熱法により合成したCe2Mo3O13で表記されるCMOが、インフルエンザウイルスと同タイプのエンベロープ型ウイルスに対して非常に高い抗ウイルス活性を示し、奈良県立医科大学との共同研究で新型コロナの実ウイルスに対しても非常に高い抗ウイルス活性を示すことが明らかになった。この結果は論文発表を行うとともに、プレスリリースを行った。この発表に関しては、国内外から非常に多くの反響があった。また湿式でのこれまでにない全く新しい方法でLMOの多孔質透明薄膜を作製する手法を開発し、粉と同程度の活性を発現することを確認した(論文作成中)。 さらにLMO粉末とこれに5%Cuを添加した試料を作成し、抗真菌活性(防カビ性)を評価したところ、いずれも高い活性を有することを確認した。さらに、LMOから着想を得て水熱法で作製したCeO2ナノ粒子が、Laを固溶させることで、暗所でも高い抗ウイルス活性を発現することを新たに見出した。さらにCoの酸化物クラスタを担持することで、その活性が増大することも明らかになった(論文作成中)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学内外での実験が制約を受けたため、当初の計画通りに進まなかった部分もあったが、一方で新型コロナ実ウイルスでの活性試験や透明薄膜の作製など、次年度以降に予定をしていた内容を前倒しで実施したことから、全体としては概ね順調、若しくはやや前倒しで検討が進んでいる状況である。また、LaドープナノCeO2のような新たな抗ウイルス材料が見出されており、材料の幅も広がりを見せている。

今後の研究の推進方策

LMOの活性発現機構の解明を継続する。表面の濡れ性が抗ウイルス活性に及ぼす効果を検討する。既に試料はほぼ作製できている。またLCoO, LMnOの抗ウイルス活性を確認する。併せてLaを他の元素に置き換えたモリブデン酸複合酸化物の作製も開始する。抗ウイルス活性の報告があるCu, Zn, Feについて検討を行う予定である。
今年度は新たにシリカマトリックス中にポリ酸源と希土類源を添加した簡易な構造の抗ウイルス材料の作製にも着手する。抗菌活性は黄色ブドウ球菌と大腸菌に対して、また抗ウイルス活性はバクテリオファージQβとΦ6に対して、ISOに定められたフイルム密着法にて実施する。なお抗菌・抗ウイルス活性の評価は、研究分担者である砂田香矢乃博士が所属する、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)にて実施する。
並行して活性発現機構の解明にも着手する。今年度は新たに計算科学的アプローチを開始する。その為の環境整備を既に開始している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Preparation of cerium molybdates and their antiviral activity against bacteriophage phai6 and SARS-CoV-22021

    • 著者名/発表者名
      T. Ito, K. Sunada, T. Nagai, H. Ishiguro, R. Nakano, Y. Suzuki, A. Nakano, H. Yano, T. Isobe, S. Matsushita and A. Nakajima
    • 雑誌名

      Materials Letters

      巻: 290 ページ: 129510

    • DOI

      10.1016/j.matlet.2021.129510

  • [学会発表] CoOx担持 Ce0.8Bi0.2O2-δ, Ce0.8La0.2O2-δによる水中2-ナフトール分解および抗ウイルス活性2021

    • 著者名/発表者名
      加藤千尋、砂田香矢乃、石黒斉、永井武、磯部敏宏、松下祥子、中島章
    • 学会等名
      日本セラミックス協会2021年年会
  • [学会発表] モリブデン酸セリウムの作製とその抗ウイルス活性2021

    • 著者名/発表者名
      伊東拓朗、砂田香矢乃、石黒斉、永井武、磯部敏宏、松下祥子、中島章
    • 学会等名
      日本セラミックス協会2021年年会
  • [学会発表] 撥水性と抗ウイルス活性を併せ持つ新規セラミックス材料2021

    • 著者名/発表者名
      中島章
    • 学会等名
      日本セラミックス協会2021年年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 撥水性と抗菌・抗ウイルス活性を併せ持つ複合酸化物2021

    • 著者名/発表者名
      中島章
    • 学会等名
      無機マテリアル学会オンラインセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 撥水性と抗菌・抗ウイルス活性を併せ持つ革新的複合酸化物2020

    • 著者名/発表者名
      中島章
    • 学会等名
      第19回環境と耐火物研究会、 主催:耐火物技術協会
    • 招待講演
  • [備考] 光や貴金属を用いずに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化する新規複合酸化物を開発

    • URL

      https://www.titech.ac.jp/news/2021/049124.html

  • [産業財産権] 複合酸化物セラミックス、機能性材料、及び物品2020

    • 発明者名
      中島章・松下祥子・磯部敏宏・伊東拓郎・砂田香矢乃
    • 権利者名
      中島章・松下祥子・磯部敏宏・伊東拓郎・砂田香矢乃
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-121420

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公開日: 2021-12-27  

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