研究課題
基盤研究(B)
本研究では、銅と硫黄を主成分とする化合物において、四面体ネットワーク構造の局所的特徴が熱電物性に与える影響を明らかにするとともに、局所構造を制御することで熱電変換性能を高めた。具体的には、コルーサイトという化合物に対して、格子間原子や原子空孔の導入、さらには元素置換により、熱伝導率を低下させると共に出力因子を高めた結果、673 Kでの無次元性能指数ZTは最大で0.8-0.9に達した。その他の化合物に対しても局所構造が電気伝導と熱伝導に与える影響を系統的に調べた。
熱電変換
固体のゼーベック効果を利用する熱電発電は、未利用熱から電力を回収する手段として注目されている技術である。その固体、つまり熱電変換材料の性能向上に向けた取り組みが、現在、世界的に進められている。本研究では、資源豊富で安価、かつ低毒性な元素である銅と硫黄を主成分とする化合物について、結晶構造の局所的特徴が熱電物性(電気的、熱的特性)に与える影響を解明すると共に高性能化を達成した。得られた知見は、高性能な熱電変換材料の開発に貢献するものであり、高効率な熱電発電の実現に結び付くものと期待される。