研究実績の概要 |
ボトルブラシポリマーは主鎖と側鎖の2種類の高分子から構成され、両者を独立に制御可能な超巨大分子である。側鎖間の排除体積効果により、ボトルブラシポリマーは半剛直性のシリンダー形状をとる。とりわけ、イオン性の側鎖を有するボトルブラシポリマーは水中において、側鎖の重合度が増加するにつれて、側鎖間の排除体積効果が大きくなり、主鎖の運動に大きな制限が加わるため、より規定された構造をとると予測される。高分子合成化学的に、側鎖の繰り返し単位を算出し、直径を推定することは可能であるが、溶液中において、実際にボトルブラシポリマーの直径がどの程度かを実験的に算出するには小角X線散乱もしくは中性子散乱に準ずる解析が必要である。本年度は、直径の異なるイオン性ボトルブラシポリマーを精密合成し (イオン性側鎖の重合度DP= 32, 70, 74, 84, 96, 101, 104, 123)、放射光施設(SPring-8および JRR-3)にて、ボトルブラシポリマーの水分散液(0.1wt%)の散乱測定を遂行した。小角X線散乱および中性子散乱の両データを比較したところ、中性子散乱による測定において、イオン性ボトルブラシポリマーの直径の増加がI-qプロットの傾きへ系統的に反映され、本系の解析により適していることを明らかにした。
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