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2022 年度 実績報告書

光応答分子導入潤滑液表面における物質移動現象解明と小物体操作技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20H02456
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

真部 研吾  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (80848656)

研究分担者 中野 美紀  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20415722)
穂苅 遼平  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20759998)
則包 恭央  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50425740)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードバイオミメティクス / 表面濡れ性 / 界面 / 光応答性分子 / 物質輸送 / ソフト・インターフェース / ウツボカズラ / Liquid-Infused Surface
研究実績の概要

本研究においては、ウツボカズラ等の生物模倣による表面機能を活用し、幅広い液体滑落性を示す液体注入表面、及び光で駆動可能な分子モーターとして注目を集める光応答性分子であるアゾベンゼン誘導体より着想を得た、光操作による物質の操作・輸送・制御を実現可能な光応答分子導入潤滑液表面を創生することを目標としている。本年度は、これまでの潤滑流体への分子モーターの導入の成功、その場観察も可能な評価分析機器の構築、操作・輸送・制御に繋げるための表面における超低摩擦化を実証したことを踏まえ、現象を再現よく引き出せるパラメータ条件の最適化とその現象の解明を実施した。疎水親油性に処理した基板表面上にアゾベンゼン誘導体を導入した潤滑油を濡れ広がらせ、その潤滑油面上で水滴を操作することを試みた。水滴後方部に紫外光を照射しながらその場観察を行ったところ、スペクトルピークが変化し潤滑油内部のアゾベンゼンがシス・トランスの光異性化を起こしていることが認められた。光吸収に伴い温度も変化し、その異性化と温度変化により表面張力が変化した。光異性化は流体内での濃度勾配を生み出し、水滴後方部に渦状の流れを引き起こした。この輸送表面は、エネルギーの観点から従来の10倍以上の輸送効率を発揮した。さらに接触角ヒステリシスが小さいことを利用し、輸送対象の液滴上で固体を輸送することにも成功した。今年度の成果をまとめ、特許1件の出願、論文1報の掲載、学会等発表8件へと繋げた。特に論文においては、Impact Factor 18.027、米国化学会最高峰論文誌に位置づけられているACS Nanoに掲載され、今年度までの成果が高く評価されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本年度の目標に設定した、現象解明と効率的な物質輸送現象の探索を達成し、さらにその現象を用いて、先行研究では不可能であった固体の輸送も実現できている。また、それらを特許出願及び高IFの論文誌への掲載に繋げられ、学会等で外部発信も十分にできていることから、“当初の計画以上に進展している。”といえる。

今後の研究の推進方策

研究計画は順調に進展しており、今年度までに実施した基本的な現象部分をさらに詳細分析し、現象の普遍的な定式化に繋げる。また、基礎研究を応用研究へと発展させるため、再現性の高い物質輸送現状発現条件の探索を実施し、超効率輸送や物質の滑り・付着・濡れ特性の高度化に繋げる技術の研究開発を行うことに焦点を当てる。特に下地層や表面処理については、自己組織化によるナノからマイクロオーダーの制御および3Dプリンタ、レーザーエッチングによるマイクロからミリオーダーの制御を実施し、自己修復性や高耐久性、双極性濡れ性、超撥水性等の機能性を付与する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Light-Driven Liquid Conveyors: Manipulating Liquid Mobility and Transporting Solids on Demand2022

    • 著者名/発表者名
      Kengo Manabe, Koichiro Saito, Miki Nakano, Takuya Ohzono, and Yasuo Norikane
    • 雑誌名

      ACS Nano

      巻: 16 ページ: 16353~16362

    • DOI

      10.1021/acsnano.2c05524

    • 査読あり
  • [学会発表] 濡れ性を基盤とした機能性表面の創出2023

    • 著者名/発表者名
      真部研吾
    • 学会等名
      WaTUS第8回イブニングセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 植物油保持表面上の一滴の水滴を用いた超低摩擦表面2022

    • 著者名/発表者名
      真部研吾
    • 学会等名
      第32回日本MRS年次大会
  • [学会発表] フィルム・コーティングにおける自己修復とその応用可能性2022

    • 著者名/発表者名
      真部研吾
    • 学会等名
      第31回ポリマー材料フォーラム
  • [学会発表] 潤滑流体表面上における水滴の濡れ挙動2022

    • 著者名/発表者名
      真部研吾
    • 学会等名
      第73回コロイドおよび界面化学討論会
  • [学会発表] アゾベンゼン誘導体の微小液滴の基板上での移動現象2022

    • 著者名/発表者名
      則包恭央, 真部研吾, 他
    • 学会等名
      2022年光化学討論会
  • [学会発表] 低接触角ヒステリシス表面におけるアゾベンゼン結晶の光誘起移動2022

    • 著者名/発表者名
      齊川誠, 真部研吾, 則包恭央, 他
    • 学会等名
      2022年光化学討論会
  • [学会発表] 光異性化による潤滑油表面の流体制御2022

    • 著者名/発表者名
      真部研吾
    • 学会等名
      2022年光化学討論会
  • [学会発表] 植物油を用いた超滑性表面における摩擦特性2022

    • 著者名/発表者名
      真部研吾
    • 学会等名
      第71回高分子討論会
  • [備考] 研究者HP

    • URL

      https://sites.google.com/view/kengo-manabe-research

  • [産業財産権] 輸送体、微小物体の輸送デバイス、微小物体の輸送システム、微小物体の 輸送方法2022

    • 発明者名
      真部研吾, 齋藤滉一郎, 中野美紀, 大園拓哉, 則包恭央
    • 権利者名
      国立研究開発法人産業技術総合研究所
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2022-125534

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公開日: 2023-12-25  

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