C60薄膜は既存の無機熱電材料に比べ数100倍の大きなゼーベック係数を示すため、次世代フレキシブル熱電材料として期待されているが、実用化には出力因子の向上とP型/N型特性の制御が必須である。本研究では、真空共蒸着法によってC60と三酸化モリブデンナノクラスターからなるナノクラスター集積固体薄膜が形成できること、および、この複合薄膜がC60薄膜に比べて約100倍大きな出力因子と高い熱的安定性を示す高性能フレキシブル熱電材料として機能することを世界に先駆けて発見した。この複合薄膜はP型特性を示すが、加熱処理によってN型特性が発現するため、実用的なπ型熱電素子の主構成要素としての有用性も示された。
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