研究課題
基盤研究(B)
316ステンレス鋼をベースとした積層造形用粉末を準備し、これを酸化させた時の粉末特性変化を粉末流動性、レーザ吸収率および接触角の観点から調べた。レーザ積層造形用粉末としての特性が酸化により向上することがわかった。酸化した316L粉末を用いて積層造形を行った結果、酸化粉末は溶融ビードの連続性を向上させ、母材中における微細酸化物分散を可能とした。しかし、引張試験により得られる耐力や引張強さには大きな変化は見られず、延性の低下を引き起こすことがわかった。
材料工学
酸素が及ぼすステンレス鋼粉末特性、溶融挙動、造形性、造形体の力学特性への影響を学術的に明らかにすることができた。粉末酸化を防ぐための粉末酸化処理を行い、粉末表面における酸化被膜の形成、レーザ吸収率および表面張力の変化、造形体に及ぼす組織と機械的性質の影響を関連付けて議論したことに学術的な意義がある。ステンレス鋼粉末を例にした新たな酸素の利用法を提案し、再利用性を考慮した積層造形用粉末の開発につながることから、社会的意義も大きい。