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2021 年度 実績報告書

粗大結晶粒金属材と機械学習を用いた新規アプローチ法による結晶塑性解析の高精度化

研究課題

研究課題/領域番号 20H02480
研究機関京都大学

研究代表者

浜 孝之  京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10386633)

研究分担者 高村 正人  国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, 上級研究員 (00525595)
山中 晃徳  東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50542198)
内田 壮平  地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (70736305)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード結晶塑性有限要素法 / データ同化 / 粗大結晶粒材
研究実績の概要

2021年度の実施内容と得られた成果を以下に示す.
(1)粗大結晶粒フェライト単相鋼板を対象とした結晶塑性有限要素法解析を行った.その結果,変形モードによるひずみ帯の発生形態の違いやひずみ分布の不均一性が変形初期からほぼ変化しない傾向など,実験と定性的に一致する結果が得られ,解析の妥当性が示された.また,変形モードによるひずみ帯の発生形態の違いはシュミット因子から説明できることが解析結果に基づく詳細検討からも確かめられた.
(2)粗大結晶粒純アルミニウム板を対象とした引張試験および単純せん断試験を実施した.その結果,本研究で用いた純アルミニウムは前述のフェライト単相鋼に比べて強度がはるかに低いため,単純せん断試験ではチャック部における噛みこみがゲージ部のひずみ測定に無視できない影響を及ぼすことが明らかとなった.そこで,データ同化では引張試験を対象とすることとした.またこの実験において,微小硬度試験により変形前後のサンプルの硬度を測定したところ,ひずみだけでなく硬化発展も実験と解析で比較できる指標となりうることが示唆された.
(3)上述の実験を模擬して純アルミニウム板の引張変形に関する結晶塑性有限要素法解析を行い,データ同化を実施した.具体的には,サンプルのゲージ部を有限要素でモデル化し,各要素には実測された結晶方位を割り当てた.またモデルの端部には,デジタル画像相関法の測定結果に基づいて境界条件を与えて,解析を実施した.そして実験結果と解析結果に基づき,データ同化を試みた.ここでは特に,必要となるアンサンブル数や評価関数とすべきパラメータ,観測データとして用いるべきパラメータなどを考察した.この結果を受けて,次年度にデータ同化に基づく解析精度向上に関する検討を実施する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定どおり,粗大結晶粒材を用いた種々の条件での実験,実験を模擬した結晶塑性有限要素法解析,データ同化に向けた材種や変形条件の決定,データ同化の試行実施などを実施することができたため,概ね順調に進展していると判断した.

今後の研究の推進方策

これまでの2年間,ほぼ計画通りに研究を進めることができた.そこで2022年度も当初の予定どおり研究を推進する所存である.具体的には,これまでに最適化することができた諸条件に基づいてデータ同化を実施し,結晶塑性モデルにおけるパラメータの最適化を行うとともに多結晶金属における結晶粒レベルでの塑性変形挙動について考察する.また2022年度は最終年度であるため,今後に向けた研究の総括も実施する.

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Cylindrical cup drawing of a commercially pure titanium sheet: experiment and crystal plasticity finite-element simulation2022

    • 著者名/発表者名
      Hama Takayuki、Hirano Kaho、Matsuura Ryo
    • 雑誌名

      International Journal of Material Forming

      巻: 15 ページ: -

    • DOI

      10.1007/s12289-022-01655-x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Prediction of Work-Hardening Behavior under Various Loading Paths in 5083-O Aluminum Alloy Sheet Using Crystal Plasticity Models2021

    • 著者名/発表者名
      Hama Takayuki、Namakawa Ryota、Maeda Yasuhiro、Maeda Yasushi
    • 雑誌名

      MATERIALS TRANSACTIONS

      巻: 62 ページ: 1124~1132

    • DOI

      10.2320/matertrans.MT-M2021020

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Non-uniform Deformation Behavior of Coarse-grained Ultralow Carbon Steel Measured Using Digital Image Correlation Method2021

    • 著者名/発表者名
      Hama Takayuki、Nishi Takuna、Oka Masashi、Matsuno Takashi、Okitsu Yoshitaka、Hayashi Seiji、Takada Kenji、Takuda Hirohiko
    • 雑誌名

      ISIJ International

      巻: 61 ページ: 1971~1979

    • DOI

      10.2355/isijinternational.ISIJINT-2020-712

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Material Model Development of Magnesium Alloy and Its Strength Evaluation2021

    • 著者名/発表者名
      Huang Wenjia、Ma Ninshu、Ma Yunwu、Amaishi Toshiro、Takada Kenji、Hama Takayuki
    • 雑誌名

      Materials

      巻: 14 ページ: 454~454

    • DOI

      10.3390/ma14020454

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Evolution of plastic deformation behavior upon strain-path changes in an A6022-T4 Al alloy sheet2021

    • 著者名/発表者名
      Hama Takayuki、Yagi Shogo、Tatsukawa Koji、Maeda Yasuhiro、Maeda Yasushi、Takuda Hirohiko
    • 雑誌名

      International Journal of Plasticity

      巻: 137 ページ: 102913~102913

    • DOI

      10.1016/j.ijplas.2020.102913

    • 査読あり
  • [学会発表] 粗大結晶粒金属材における不均一変形挙動2022

    • 著者名/発表者名
      浜孝之
    • 学会等名
      日本鉄鋼協会第183回春季講演大会
  • [学会発表] 結晶塑性有限要素法による極細ステンレス鋼管の空引きにおける内面の高さ変化の解析2021

    • 著者名/発表者名
      末松咲希,坂口颯,岸本拓磨,浜孝之,鈴木進補
    • 学会等名
      第29回機械材料・材料加工技術講演会
  • [学会発表] フェライトーマルテンサイト複合組織鋼板の塑性変形挙動に関する結晶塑性解析2021

    • 著者名/発表者名
      田村悠真,畠山健太郎,松野崇,興津貴隆,高田賢治,林誠次,浜孝之
    • 学会等名
      第72回塑性加工連合講演会
  • [学会発表] 6022アルミニウム合金板材の加工硬化挙動とその現象論および結晶塑性モデリング2021

    • 著者名/発表者名
      塚本摩耶,松浦遼,前田康裕,前田恭志,浜孝之
    • 学会等名
      第72回塑性加工連合講演会
  • [学会発表] 種々の負荷経路におけるZX10マグネシウム合金板の塑性変形挙動2021

    • 著者名/発表者名
      樋口晃一,吉田輝,城野百合,浜孝之
    • 学会等名
      第72回塑性加工連合講演会
  • [学会発表] SUS430ステンレス鋼板の結晶塑性解析精度に及ぼす潜在硬化パラメータの影響2021

    • 著者名/発表者名
      浜孝之,月原啓志,金英俊,岡田直人
    • 学会等名
      第72回塑性加工連合講演会
  • [学会発表] 軟鋼板における非線形負荷経路下での塑性変形挙動2021

    • 著者名/発表者名
      浜孝之,岡上隆一郎,達川昴至,前田康裕,前田恭志
    • 学会等名
      日本機械学会M&M2021カンファレンス
  • [学会発表] 粗大結晶粒極低炭素鋼における不均一変形挙動に関する結晶塑性有限要素解析2021

    • 著者名/発表者名
      浜孝之,岡将司,西拓樹,松野崇,興津貴隆,林誠次,高田賢治
    • 学会等名
      2021年度塑性加工春季講演会
  • [学会発表] Crystal plasticity finite-element simulation of non-uniform deformation behavior in coarse-grained steel2021

    • 著者名/発表者名
      Hama, T.
    • 学会等名
      International Symposium on Technology of Plasticity for Celebrating KSTP’s 30 years Anniversary (IS-KSTP30)
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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