研究課題
偏光高速イメージングカメラを用いてレーザー走査中のガラス内部に生じる複屈折の大きさの時間変化を観察した。エネルギー変調無しの場合は、焦点近傍に常に発生しているプラズマの位置(光励起領域)が周期的に上下移動すると共に、上下に二点同時に発生する時間帯も存在するが、エネルギー変調を行うことで、光励起領域が発生していない時間帯が存在することを確認した。また、レーザー集光部に発生するプラズマを完全導体球として、高速カメラで観測した移動現象(上下移動)の再現をFDTD計算により試みた。結果、完全導体球より深い位置ではレーザー光は反射され、それより浅い位置で電場強度が増大し、結果としてプラズマ生成領域がレーザー照射方向に上昇すること、完全導体球の位置がある程度上昇すると、反射されずにより深い位置にレーザー光がまわり込み、本来の集光点での電場強度が高くなることを確認した。プラズマを完全導体として置き換え、レーザーの電場による効果と温度上昇による効果を考慮したシミュレーションにより、プラズマの移動現象を定性的に再現することに成功した。このシミュレーションより、内部応力の不均一化の原因が、発熱に伴って発生する応力が溶融領域中央部に連続的に蓄積することにあり、エネルギー変調を行うことでこの効力蓄積を意図的に緩和できることを確認した。さらに、レーザー集光部の走査中における光励起領域内部の応力の時間変化を観測した結果、エネルギー変調なしの場合は位相差が不規則に変化するのに対し、エネルギー変調することで、位相差が周期的に変化し、その周期は変調周波数と一致することを確かめた。位相差の大小は応力に比例することから、エネルギー変調により応力の蓄積と緩和が一定時間ごとに起こることで、不規則な応力分布の形成が抑制され、結果として透明材料内部の連続的な均一加工が可能であることを明らかにした。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Chemical Physics
巻: 156 ページ: 214504~214504
10.1063/5.0090939