研究課題/領域番号 |
20H02489
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
山本 洋揮 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (00516958)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 材料・加工 / 半導体微細化 / ナノ加工 / ナノ材料 |
研究実績の概要 |
人工知能など情報技術を支えるコンピュータ性能の更なる向上のため、次世代リソグラフィ技術では10nm未満の加工が必要不可欠である。従来の紫外光から、電離作用を引き起こす極端紫外光(EUV)や電子線(EB)など量子ビーム利用が求められているが、レジスト材料の要求性能を向上させる設計指針がない。本研究では、量子ビームに対応した新規レジスト材料として金属酸化物ナノ粒子レジストに着目し、量子ビームによるナノ空間で誘起される物理・化学過程を解析することで高感度、高解像度を達成し、シングルナノパターンの熱処理による金属ナノ配線の創製技術を確立することを目指す。 令和2年度は金属酸化物ナノ粒子のコアとしてEUV吸収係数が高い3種類の金属コアを選定し、メタルレジストを合成することに成功した。また、合成したメタルレジストをArF露光装置、KrF露光装置、EUV露光装置および電子線描画装置を使って化学変化を誘起させ、感度曲線および微細パターン形成を試みた結果、パターンが形成することがわかった。 また、10nm未満の加工を実現するための新しい微細加工技術の創成に糸口を見つけるために、トップダウンとボトムアップの融合技術である誘導自己組織化(Directed Self-assembly)といった革新的な材料・プロセスに関する研究も行った。自己組織化単分子膜(SAM)の還元処理がPS-b-PMMAのラメラ配向に決定的な役割をすることを明らかにするとともに、PS-b-PMMAがラメラ配向を行うためには適切な線量とアニーリング温度が中性層のチューニングに必要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シングルナノパターンの熱処理による金属ナノ配線の創製技術を確立するために、令和2年度は金属酸化物ナノ粒子のコアとしてEUV吸収係数が高い3種類の金属コアを選定し、メタルレジストを合成することに成功した。また、合成したメタルレジストをArF露光装置、KrF露光装置、EUV露光装置および電子線描画装置を使って化学変化を誘起させ、感度曲線および微細パターン形成を試みた結果、パターンが形成することにも成功した。また、トップダウンとボトムアップの融合技術である誘導自己組織化(Directed Self-assembly)といった革新的な材料・プロセスに関する研究も行い、0nm未満の加工を実現するための新しい微細加工技術の創成に糸口を見つけることができた。具体的には、自己組織化単分子膜(SAM)の還元処理がPS-b-PMMAのラメラ配向に決定的な役割をすることを明らかにするとともに、PS-b-PMMAがラメラ配向を行うためには適切な線量とアニーリング温度が中性層のチューニングに必要であることを明らかにすることができた。この成果に関してまとめた論文が査読付きジャーナルに掲載されている。このような理由で、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
EUV吸収係数が高い3種類の金属酸化物ナノ粒子薄膜の形成過程の解明を行う。とりわけ、金属コア・リガンドの比較により、パターン形成メカニズムを解明する。また、EUVおよび電子線照射し、合成した金属酸化物ナノ粒子薄膜の現像過程を水晶振動子マイクロバランス法(QCM法)と動画原子間力顕微鏡を併用することで解明する。さらに、実際にシリコン基板上にスピンコートして金属酸化物ナノ粒子薄膜を形成し、100 kVの電子ビーム描画装置を使って微細パターンを形成し、限界解像度を調べる。
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