本研究では,Snを中心とする低融点金属反応場における化学ポテンシャルを制御することにより,SnSのn型伝導化,および(Ge,Sn)S固溶体形成によるバンドギャップ制御を試みた。その結果,前者に関してはSnS結晶中のSb組成が0.02mol%のところでpn反転を確認した。本研究の当初の計画通り,従来とは異なる化学ポテンシャル環境の実現により,SnSに対するカチオンドープで初めてn型伝導を確認した。一方,固溶体形成については,第4元素としてBiを添加することにより,液相と固溶体が平衡することがわかった。これを蒸発源として用いることでバンドギャップの制御された固溶体結晶が得られた。
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