研究課題/領域番号 |
20H02496
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研究機関 | 函館工業高等専門学校 |
研究代表者 |
水野 章敏 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (10348500)
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研究分担者 |
正木 匡彦 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00360719)
尾原 幸治 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (00625486)
小原 真司 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端材料解析研究拠点, 独立研究者 (90360833)
寺門 修 函館工業高等専門学校, 物質環境工学科, 准教授 (90402487)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 液体金属 / 高温融体 / 液体構造 / 無容器浮遊法 / 放射光X線回折 / 過冷却液体 |
研究実績の概要 |
本研究では、1800℃を超える高温域において高融点金属の液体構造を精確に決定することにより、将来的に実装が見込まれる機械学習の援用による金属ガラス材料開発へ役立てることを目的としている。一般的に金属ガラスの構造は液体構造を凍結した状態と考えることができ、そのガラス形成能を考える上で液体構造情報を精確に計測し、その違いを検出することは重要となる。また、機械学習における訓練データの精度は、特徴量抽出に影響するため、予測の正確さに直結する。そこで、金属ガラスの主成分となる高融点遷移金属およびランタノイドの単体について、その液体構造情報を放射光X線と無容器ガス浮遊法を用いて高精度かつ高確度で計測した。 放射光X線回折実験は、高エネルギーかつ高強度のX線を利用できる大型放射光施設であるSPring-8において実施した。また、高融点金属液体の構造測定用に構築した無容器ガス浮遊装置を使用することで2000℃を超える高温液体金属の構造データを取得した。本研究では構造の温度依存性についても着目しているため、融点近傍だけでなく、温度条件を変更して構造解析を実施した。 今年度構造データの取得に成功した高融点金属は、Fe、Ni、Zr、Hf、Ti、Pdである。このうち最も融点の高いHfについて、融点(2233℃)直上および100℃過冷却した状態において取得した。我々の知る限り、Hfについて高精度で液体構造因子を取得した例はない。今後は実験的に取得した構造因子および動径分分布関数による構造解析を進め、さらには液体論により関連付けられる熱力学的物性値を算出し、高融点液体金属の構造と物性との関連を考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に実施する予定であった放射光実験を実施できなかったため、構造解析を予定通り実施することができていない。 また、高融点金属を融解するために必要なファイバーレーザの納期が予定より長くなったことも、当初の計画よりも遅れた要因となっている。 2021年度は年2回の放射光実験の課題実験を実施することができ、Hfをはじめとした高融点金属液体の高精度構造データの取得に成功した。構造因子を精密に解析することにより液体中の原子配置を決定する構造解析に取り組んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は実験的に取得した構造因子および動径分分布関数による構造解析を進め、さらには液体論により関連付けられる熱力学的物性値を算出し、高融点液体金属の構造と物性との関連を考察する。 また、現時点で構造データの取得にいたっていない金属については、2022年後期の放射光実験に課題申請する。その際、2021年度の実験で融解できなかった金属は新たに購入したファイバーレーザーを使用することで融解を可能とし、構造データを取得する予定である。 高融点金属の構造データを系統的に取得した後には、解析結果から得られた構造パラメータのデータベース化を実施する。
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