研究課題
基盤研究(B)
本研究では、生体膜の物質透過機構を模倣した、新規なイオン分離膜の可能性について検証した。生体由来のイオン透過性分子のイオン透過速度を、リポソームを用いて定量的に評価し、イオン透過性に関してイオン種ごとに速度差があることを明らかにした。これらの分子を含む支持平面脂質二分子膜を高分子多孔体表面に形成し、イオン分離膜として評価したところ、イオン分離を行える可能性が示された。
膜分離工学
生体模倣型の水処理膜は、近年、従来の高分子材料を超える性能が実現できると期待されている。しかしながら、その検討は水分子を選択的に透過するアクアポリンなどの水チャネルを用いた逆浸透膜が中心である。本研究は、生体模倣的アプローチによりイオン分離を試みた初めての研究であり、高分子系材料からなるイオン分離膜とは全く異なる構造、性能を持つ次世代のイオン分離膜の可能性を示した点は、分離工学において重要な学術的知見である。