凍結乾燥プロセスをいかに制御するべきかの科学的根拠を得ることを到達地点と設定した本研究では,次世代型の凍結乾燥プロセス創出のための鍵となる計測技術として,マイクロ波共振スペクトル計測による凍結乾燥プロセスのモニタリング技術を開発に取り組んだ.まず,凍結乾燥過程の製品の乾燥の進行度をマイクロ波共振スペクトル計測によって非接触で取得する技術の開発に成功した.この技術は従来型のバイアル凍結乾燥に適用できるだけでなく,粉粒体プロセスにも適用できることを検証し,これらの成果はすでに報文としてまとめ,学術誌に掲載されている.また,国内外での学術会議での発表も実施しており,反響も得ている.凍結乾燥過程で取得したマイクロ波共振スペクトルデータからコラプスの発生を予測し,品質ロスを回避する操作条件の決定手法についても検討した.既に得られている結果については,報文として現在まとめている最中ある.スペクトルデータから医薬や食品中の生理活性成分の活性変化と関連する情報を入手することを目指す検討も研究計画に盛り込まれており,これについても実施した.令和4-5年度ではこれと関わる検討(酵素活性,コラプスの発生,スペクトルデータを相関させる検討)を進めたが,スペクトルデータから酵素失活と関わるデータを抽出するためには更なる検討が必要と認められ,今後の課題として残った.当初掲げていた乾燥進行の計測と関わる目標はすべて良好に達成した.コラプスの発生検知に関してもその可能性を示すことができた.バイオ製品製造という観点からの品質予測については,当初想定していなかった課題を見出すことができ,今後の研究へと繋げる.
|