研究課題
3Dプリンタによりポリマー3次元構造体を形成し,表面を金属薄膜により被覆することにより,従来の金属切削加工では成しえなかった微細かつ複雑な構造を形成し,テラヘルツ波デバイスとして使用することを目指している。そのためには,最適な膜材料,必要な膜厚を決定するとともに,その時の伝搬損失を定量的に導出できる物理モデルを構築することが重要である。シリコン基板を活用した伝搬損失評価構造を使用し,金をモデル物質として選定し,膜厚の異なる複数の試料を準備し,伝搬損失を評価した。これらの結果から,必要膜厚が算出できた。また,既存のバルク導波管の伝搬損失モデルを改良し,金属被覆誘電体導波管の伝搬損失を説明できるめどが立った。また,得られた伝搬損失を電磁波が金薄膜を透過し外部に漏れ出るペネトレーションロストと金属膜の電気抵抗によるオーミックロスに定量的に分割できることモデルを構築した。
2: おおむね順調に進展している
提案した伝搬損失測定用構造が有効に機能することを確認した。また,金をモデル物質とし,定量的評価とそれに基づく物理モデルも着実に構築できつつあるため,順調に進展していると判断できる。
物理モデルを確立するとともに,他の材料系にも適用できる汎用性を確認することが重要である。必要に応じて物理モデルに材料依存正項を加えるなどの改良も行う。また,複数の金属材料を検討し,実験,モデル計算の両面から最適材料を決定する。
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