研究実績の概要 |
2021年度は以下を実施した. A. 流体解析: スタンドアロンPCに加えて大規模計算機を用いた3次元流体解析を実施した.前年度にスタンドアロンPCを用いて少数流路にて実施した流量分配予測と流体・表面濡れの解析を,より多流路(100-1000本)モデルに対して実施した. B. デバイス作製:PDMS製チップに加え,より耐薬品性が高く,将来的に実生産設備として有望視されるガラス製チップの作製を行った.軸付砥石を用いた機械加工により,最小幅100 um,深さ100 umの溝を1-16本,数cm角の合成石英基板上に加工した.一方,ダイシングブレードを用いた幅200 um,深さ100 umの溝の加工も実施した.一方,上記のガラス製溝加工チップと貼り合せるガラス製スリット部品を,同様にダイシングブレードを用いた機械加工によって作製した.最小幅200 umの貫通スリットを厚み1mmの合成石英基板上に加工し,ガラス製溝加工チップと熱溶着により貼り合せ,スリット-マイクロ流路アレイ一体型チップとして用いることができた.さらに, PDMS-ステンレス装置によるO/W液滴生成を目的とし, 酸素プラズマ処理,ポリビニルアルコール(PVA)や高分子電解質の塗布処理等による流路の親水化処理を実施し,親水性と耐久性を比較,評価を行った. C. 液滴・粒子生成試験:ガラス製部品および上記手法により親水化したPDMS-ステンレス装置に,分散相としてアクリルモノマー,連続相としてPVAの2wt%水溶液を送液し,O/W液滴生成試験を行った.平均径約100 um, CV値5%以下の単分散O/W液滴の生成を確認した.さらに,上記の試験においてアクリルモノマーに光重合開始剤を添加して単分散O/W液滴を生成し,装置外にてUV光照射または湯浴により硬化させ, CV値5%以下の単分散アクリル粒子を生成できることを確認した.
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