エタン脱水素反応に有効なゼオライト内In及びGaヒドリド触媒を開発し、その局所構造が反応選択性と耐久性に密接に関わることを明らかにした。また、ゼオライト骨格が脱水素触媒作用に与える影響が活性なヒドリド種の生成で議論できることがわかった。H2流通下での還元的固相イオン交換では、活性な金属ヒドリド錯体種をその場合成できる利点がある。加えては、M+あるいは[MH2]+のような1価カチオン種の状態で交換反応が進行するため、ほぼ全てのイオン交換サイトに金属種を導入でき、触媒表面に残存する酸点が大幅に減少する。エチレン選択性の向上やコーク生成の抑制につながり、触媒の長寿命化が期待できる。 プロパン脱水素反応の新規触媒開発は、ナフサからシェールガスへの原料転換に伴うプロピレンの需要増を背景に、アルカン脱水素反応の中でも特に近年盛んに研究が行われている。ゼオライト内In、Gaヒドリド種がアルカン脱水素反応の活性点として機能し、優れた活性や耐久性を示したことから、バルク金属水素化物のアルカン脱水素触媒作用の探索を開始した。アンモニア合成に活性を示すことが報告されているTiH2を用いて、比較的低温である450 ℃にてプロパン脱水素反応を検討した。TiH2は脱水素反応を促進し、ボールミル処理により比表面積を増大させると、プロピレン生成速度も増大した。高温でのプロパン脱水素反応の触媒として報告されているTiO2は低温条件では低活性であったことから、水素化物が特異的に低温でプロパン脱水素反応を促進できることがわかった。ゼオライト内金属ヒドリド触媒とは異なり、バルク金属水素化物は触媒寿命が短いなど問題点を抱えているが、これらの解決により水素化物を基盤とする新たなアルカン脱水素用固体触媒の開発が期待される。
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