研究課題/領域番号 |
20H02523
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
満留 敬人 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (00437360)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 水素化反応 / 合金 / ナノ粒子 / グリーンケミストリ― |
研究実績の概要 |
金属とリンとの複合化による新規触媒機能の創出を試みたところ、金属とリンとが合金化したリン化金属ナノ粒子が形成され、リン化ニッケル(nano-Ni2P NPs)及びリン化コバルトナノ合金(nano-Co2PNPs)などのリン化金属ナノ粒子がバイオリファイナリーを含む種々の反応に高い活性・選択性・大気安定性・耐久性を示すことを見出した。例えば、nano-Ni2P NPs)は非貴金属で初めて、常圧水素雰囲気下でのスルホキシドやグルコースの還元反応を促進させた。また、nano-Ni2P NPsはバイオリファイナリーの核技術となるフルフラールの変換にも活性を示し、フルフラールからジケトンへの変換を非貴金属で初めて可能とした。また、nano-Co2PNPsは工業的に重要なニトリルの水素化反応において世界最高活性を示し、さらに常圧水素雰囲気下という極めて温和な条件下で反応を促進させることができることを見出した。 合金ナノ粒子は単一の金属からなるナノ粒子では進行しない様々な反応を促進させることが知られており、これまで様々な合金ナノ粒子触媒が開発されてきたが多くの合金ナノ粒子は金属-金属からなる合金であり、金属-非金属からなる合金触媒の有機合成における触媒能はほとんど研究が行われてこなかった。本研究成果により、“金属をリン化すること”は安定かつ高活性な非貴金属ナノ粒子を作る有用な手法となることがわかった。今後リン化金属触媒を広域な反応に適用し、現行の触媒プロセスを代替する、より安全かつ省エネルギー、低コストの触媒反応プロセスの開発に貢献する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属ナノ粒子に異種原子を導入(複合化)することで、新しい触媒機能を発現させることを目指し、本テーマを進めている。今回、金属ナノ粒子にリンを導入することで、これまでの金属ナノ粒子にない触媒特性を発現させることに成功した。また、本研究成果を基に“金属をリン化すること”が安定かつ高活性な非貴金属ナノ粒子を作る有用な手法となることをP-alloying法とし、世界に先駆けて報告した。
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今後の研究の推進方策 |
金属と金属酸化物を複合化して、新規な触媒機能を発現させることが当初の試みであったが、金属酸化物に限定せず、様々な元素に拡張したところ金属とリンとを複合化(結果、合金化となった)したリン化金属ナノ粒子が新しい触媒機能をもつことがわかってきた。今後は、この新しい触媒化合物群を調べていき、他のリン化金属ナノ粒子の触媒特性・新規合成法の開発及び触媒活性と構造との相関関係に注目しながら、触媒活性発現因子の解明を行っていく。
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