研究課題
①Ptナノ粒子を担持した金修飾TiO2に対するCr水酸化物の修飾と可視光水分解TiO2上に固定化したAuおよびPtナノ粒子の表面にCr水酸化物の薄層を形成する触媒を調製し,可視光下における水分解に用いることを試みた.この系においてCr水酸化物薄層は,Au上で「正孔移動」の助触媒として,Pt上で「逆反応の抑制」のための薄層として機能すること,つまり1粒子上で2つの異なる機能を発揮することを期待した.透過型電子顕微鏡を用いた観察によって,Cr水酸化物がAuおよびPtナノ粒子上に析出していることを確認した.調製した触媒を純水に懸濁させ,可視光(λ> 400 nm)を照射して水分解反応を検討したところ,H2とO2が量論的に生成することがわかった.この時の水分解活性は,Au修飾TiO2の約8倍となり,Cr水酸化物薄層の多機能化の達成とともにプラズモニック光触媒の高機能化が達成された.②Au修飾酸化チタンの酸化処理による水の酸化反応の加速析出沈殿法によって調製したAu修飾酸化チタンをO2またはH2ガス流通下において,様々な温度で熱処理したところ,O2下で処理した触媒がH2下で処理したものよりも高い水の酸化活性を示す傾向があることを見いだした.X線光電子分光を用いて調製した触媒を分析するとO2下で処理した触媒のAuナノ粒子表面に薄い酸化物層が存在することが確認された.酸化物層を有する触媒をH2ガスによって還元処理することで水の酸化反応速度が小さくなったことから,Auナノ粒子表面に酸化物層が存在することによって水の酸化反応が加速されていることが明らかになった.近年では助触媒の修飾等によって触媒を高機能化させる研究が数多く行われているのに対して,この研究は,処理ガスを変えるという単純かつ簡便な方法でプラズモニック光触媒の高機能化を達成した例として位置付けできると思われる.
2: おおむね順調に進展している
AuおよびPtナノ粒子表面へのシェル層の構築に成功し、その新規な機能について明らかにした。これらの成果を元に、最終目的である、Cuナノ粒子を安定化させるコアシェル構造の構築に適用することができた。現在、その水分解活性評価を行っており、一部有用な成果が得られている。
Cuナノ粒子を安定化させるコアシェル構造の構築が完了しているので、これらの試料のキャラクタリゼーションを透過型電子顕微鏡やX栓光電子分光法ならびに電気化学的手法を駆使して行う。あわせて、その水分解反応における活性支配因子を明らかにするとともにプラズモニック光触媒の高活性化の指針を確立する。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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