研究課題
本研究の最終年度に当たる2022年度は,「複数種の細胞をマトリックス内外に導入できる,多孔性のハイドロゲル材料」を作製するための基盤技術の開発を行った。まず,溶解性の微小ファイバーを犠牲材料として用い,血管網を有する3次元的なハイドロゲルを迅速かつ精密に形成する手法について,その制御性および再現性の向上を目指した。特に,犠牲材料となるファイバー作製法を見直し,その生産性を高めたほか,ファイバーの長さを制御することで,血管網構造の均一性が向上することが確認できた。また,コラーゲン微粒子あるいはファイバーを用いた3次元細胞培養系については,人工皮膚モデルとして機能する厚みのある多層組織の作製を行ったほか,間葉系幹細胞の分化制御,神経細胞の伸長制御および,肝細胞培養を行うための多孔性かん流培養用デバイスの開発と評価をそれぞれ実行した。人工皮膚モデルの作製については,コラーゲンファイバーの断片長および導入量を変化させることで,得られる組織の形態や収縮度が変化することが確認され,特に長さ200ミクロン程度の断片化ファイバーを用いた場合に組織形態の変化を最小限に抑えられることを見出した。さらにそれぞれの応用において,これらの材料の形態が細胞の機能,増殖,分化に与える影響を評価することができた。さらにこれらの検討に加えて,水性2相分散系を利用してスポンジ状のゼラチンハイドロゲルを形成し,その応用として多層皮膚モデルの作製を試みたほか,CHO細胞の振とう培養においても緩やかなクラスター形成によって細胞の増殖が促進することを見出した。これらの結果は,微細加工を施した様々な生体由来材料を駆使することで作製した「多孔性の生体組織」の優位性を示すものであると考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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