研究課題
肝硬変はコラーゲンなどの細胞外マトリックスが過剰に蓄積される線維化疾患である.肝硬変そのものを薬物治療する方法は存在せず,特に患者が増加している非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)起因の肝硬変には優れた治療法がなく,新たな治療法が期待されている.本研究では,MSC(間葉系幹細胞)の経肝動脈的細胞投与治療に創発され,血流を遮断しないで血管内エントラップメントが可能なトーラス状の新しいDDS(ドラッグデリバリーシステム)のキャリアを開発し,肝動脈投与で肝臓血管網内に広範囲にエントラップさせ,ECM分解酵素や抗線維化薬を局所投与可能な新しいDDSの方法論を提案し確立することを目標としている.本年度は,FCS(蛍光相関分光法)による拡散係数が再現性を持って測定可能となり,トーラス状アルギン酸微粒子(以下,トーラス微粒子)の薬物放出試験の結果と相関する結果を得ることに成功した.すなわち異なったモデル薬物や候補薬物を用いて,FCSで得られた拡散係数を用いたトーラス状のマトリックスからの放出モデルを有限要素法ソフトウェアであるCOMSOLでトーラス構造のモデルを構築し.実際の薬物放出試験の結果と比較検討を行った.以上の結果から,本研究のコンセプト証明に必要なトーラス微粒子を得ることに成功した.またトーラス微粒子作成への検討が可能になる,アルギン酸に代わるその他の多糖類系ゲルを開発することにも成功し,計画に従って,SNAPによる流動特性の評価を試みた.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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http://ito-lab.t.u-tokyo.ac.jp/publications.html