研究課題
本研究では、がん特異的プロテアーゼの認識配列を二重特異性抗体に巧みに組み込むことで、高分子量型と低分子量型二重特異性抗体の両長所のみを併せ持ち、かつ免疫細胞に対して低親和性型から高親和性型に腫瘍送達後に構造変換するプロドラッグ化デザインの開発を目指している。前年度に引き続き、主に、1. 長体内滞留型から高組織浸透型へのがん特異的な構造変換デザインの開発、2. T細胞に対する低親和性型から高親和性型へのがん特異的構造変換デザインの開発、および、3. プロドラッグ化二重特異性抗体の作用機序解析、の観点から研究を進め、本年度はさらに、1.、2.を統合させた、4. 二重特異性がん治療抗体のプロドラッグ化デザインの開発、を進めた。1.前年度までに、導入した配列を認識するプロテアーゼを発現しているがん細胞の選定に成功したが、プロテアーゼ活性を向上させるためには予め活性化させる必要があることが分かった。そこで、活性化剤を添加したところ、がん細胞の成長が著しく阻害されることが明らかになった。2.アミノ酸ポリマーの付加による抗体の結合阻害法の汎用性を検証するため、異なる抗体の抗原結合部位にアミノ酸ポリマーを融合させた分子を調製後、融合による結合阻害と、アミノ酸ポリマーの切断による結合活性の回復を検討した。結果、同様の結果が得られたため本手法の汎用性が示された。3.導入した配列を認識するプロテアーゼの発現が亢進しているがん細胞を用いてスフェロイドを作製し、蛍光標識した二重特異性抗体を用いて浸透性評価を行った。結果、未反応の蛍光分子を除去する必要性が示された。4.プロテアーゼに認識される配列を介してアミノ酸ポリマーとFc領域を融合させた二重特異性抗体を設計し動物細胞を用いて調製した。結果、プロテアーゼ消化による低分子型への構造変換とアミノ酸ポリマーの除去を確認することができた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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