研究課題/領域番号 |
20H02540
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
民谷 栄一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, ラボ長 (60179893)
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研究分担者 |
齋藤 真人 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任准教授(常勤) (80457001)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 金ナノ粒子 / 電気化学発光 / バイオセンサー / デジタルデバイス / ヘルスケア |
研究実績の概要 |
用いた金ナノ粒子は、時間経過とともに電気化学発光(ECL)活性の向上が確認され、粒子量に応じて直線的な活性の増加が見られた。また、反応温度の上昇に伴い、AuNPの触媒活性とECL強度が増加した。この増加傾向は指数関数的であり、Arrhenius温度の式で近似できることから、この反応が触媒的であることがわかる。熱変性により失活する酵素触媒とは対照的に、金ナノ触媒は熱的に安定である。そのため、分析用プローブとしての優位性が示された。次に、金ナノ粒子の大きさが異なる場合の活性を調べた。1粒子あたりの触媒反応量は400nmの大きさのものが最も多く、粒子径が大きくなるにつれ、粒子あたりの触媒活性は増加する。これは、粒子径の大きなAuNPは、1粒子あたりの表面積が大きく、1粒子あたりの触媒活性が高いためより多くの反応部位が機能するようになったためと考えられた。球状AuNPの触媒活性を大きさにより比較したところ、15 nmがより高い活性を示した。次にナノフラワー構造の金ナノ粒子(AuNF)を合成した。動的光散乱(DLS)では、149 nmに鋭いピークが観察された。そのAuNPsのUV-Vis吸収スペクトルは、600nmにレッドシフトした。本研究で合成したAuNFは、走査型電子顕微鏡(SEM)像から、表面には突出した表面構造を有していることがわかった。AuNFの触媒活性を評価したところ、AuNFは球状のAuNPよりも高い触媒活性を有していることがわかった。これは、AuNFの表面形状が不均一であるため、球状のAuNPよりも大きな表面積を持つため、触媒活性の向上に寄与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形状や大きさの異なる金ナノ粒子を複数用いて電気化学発光活性を調べることができ、デジタル分子分析に向けた準備を進めることができ、順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は微小電極チャンバーを作成し、超微量での金ナノ粒子の活性を電気化学発光を用いてイメージングし、デジタル解析にむけた検討を進める予定である。
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