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2020 年度 実績報告書

細胞小器官の炭素固定戦略を模倣するコンファインド酵素反応システムの創製と応用

研究課題

研究課題/領域番号 20H02543
研究機関山口大学

研究代表者

吉本 誠  山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (80322246)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード酵素反応 / 脂質ベシクル / 炭素固定 / 気泡塔バイオリアクター / 固定化酵素
研究実績の概要

本研究は複数の酵素が脂質ベシクルに配置された炭素固定触媒とそれを用いたバイオリアクターの開発・操作を目的とする。2020年度は,炭素固定反応を逐次的に触媒するカルボキシラーゼと炭酸脱水酵素を別々の脂質ベシクル(リポソーム)に固定化する手法の開発と各固定化酵素の特性評価及びハイドロゲル粒子への固定化を行った。具体的には,当初の計画に従い,下記項目1~3を明らかにするとともに,項目4に関する成果も得た。
1.カルボキシラーゼは,タンパク質のアミノ基と脂質膜に導入したカルボキシ基間の共有結合を介してリポソームに固定化した。炭酸脱水酵素は,リポソーム系には適用例がないと考えられる化学結合を介した固定化の諸条件について詳細に検討するとともに,最適化を行った。
2.リポソームに結合させた各酵素について,結合分子数や酵素活性を明らかにした。いずれの酵素も,酵素活性が検出できるレベルで酵素が脂質膜に結合していることを明らかにした。
3.カルボキシラーゼと炭酸脱水酵素が共存する条件下において,二酸化炭素含有溶液を用いてオキサロ酢酸を合成する反応について検討した。その結果,共存させた炭酸脱水酵素の効果が得られる反応条件について明らかにした。また,カルボキシラーゼ反応の速度パラメータを決定した。
4.炭酸脱水酵素を複合化させたリポソームをアルギン酸カルシウムゲルに安定に固定化する手法を開発した。この手法により,分子サイズが比較的小さい炭酸脱水酵素を汎用性の高いハイドロゲルに固定化できることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酵素をリポソームに共有結合を介して複合化させる複数の手法を検討するとともに,それらの特徴を明らかにした。さらに,分子サイズが小さい酵素を,リポソームを介してハイドロゲルに安定に固定化する手法を開発した。以上のように当初の計画通り研究を遂行できたことから,おおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

今後は,2020年度に得られた知見を基に,2種の酵素を連動させる炭素固定反応をバイオリアクターで進行させるための技術開発を行う。2021年度は,バイオリアクターの操作条件下で安定な固定化酵素粒子の開発と気液接触型反応装置への応用に関する研究を遂行する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Efficient entrapment of carbonic anhydrase in alginate hydrogels using liposomes for continuous-flow catalytic reactions2021

    • 著者名/発表者名
      Junshi Moriyama and Makoto Yoshimoto
    • 雑誌名

      ACS Omega

      巻: 6 ページ: 6368-6378

    • DOI

      10.1021/acsomega.0c06299

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] リポソームの脂質膜と微小液滴を用いる酵素反応システムの調製法と特徴2021

    • 著者名/発表者名
      吉本誠
    • 雑誌名

      膜

      巻: 46 ページ: 78-83

    • DOI

      10.5360/membrane.46.78

    • 査読あり
  • [学会発表] 炭酸脱水酵素-リポソーム複合体を包括させたゲル粒子の調製と二酸化炭素吸収への応用2020

    • 著者名/発表者名
      森山純吏,吉本誠
    • 学会等名
      化学工学会第51回秋季大会
  • [学会発表] リン脂質ベシクルの膜機能に及ぼす高分子鎖修飾と気泡の効果2020

    • 著者名/発表者名
      吉本誠
    • 学会等名
      化学工学会第51回秋季大会
    • 招待講演
  • [学会発表] プロテアーゼを共有結合させた脂質ベシクルの調製に及ぼす反応条件の影響2020

    • 著者名/発表者名
      永易佑都,吉本誠
    • 学会等名
      膜シンポジウム2020
  • [学会発表] リポソームへのPEG化脂質の挿入が脂質膜の安定性と気泡との相互作用に及ぼす影響2020

    • 著者名/発表者名
      岩﨑正尭,吉本誠
    • 学会等名
      膜シンポジウム2020
  • [学会発表] リポソーム内に封入された酵素の触媒特性に及ぼす脂質膜外表面へのPEG鎖導入の影響2020

    • 著者名/発表者名
      岩﨑正尭,吉本誠
    • 学会等名
      化学工学会中国四国支部広島大会2020
  • [学会発表] ゲル粒子に包括させた炭酸脱水酵素-リポソーム複合体の特性と連続反応器への応用2020

    • 著者名/発表者名
      森山純吏,吉本誠
    • 学会等名
      化学工学会中国四国支部広島大会2020

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公開日: 2021-12-27  

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