研究課題/領域番号 |
20H02548
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤内 謙光 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30346184)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多孔質構造 / 電荷補助型水素結合 / 自己組織化 / 超分子 / ナノリアクター |
研究実績の概要 |
本研究では、まず複数の有機分子により階層的に巨大な超分子複合体を作成する。さらに超分子複合体を自律的に組み上げることによって、デザイン可能なナノ空間を有する超分子多孔性物質を構築する。このような多孔性物質のナノ空間表面を化学修飾し、触媒金属を配位することで精緻にコントロールされた反応場を創出し、物理刺激(光、熱)を印加することにより高度に制御された超分子ナノリアクターを創製することを目的とする。 初年度は、酸塩基反応によって複数種からなる巨大な超分子複合体を作成し、階層的にそれらを集積させ、触媒金属を担持させることによって一連の触媒機能性多孔質有機塩の構築を確立することを目指した。 スルホン酸化合物にモデル化合物としてテトラスルフォフェニルオクタブロモポルフィリンとトリフェニルメチルアミンとを組み合わせることよって、相互貫入のないシングルネットワークの多孔質構造が得られた。その空隙率は65%に達し、ボトルネック部分で10Å、最大径で20Åとなり、反応に用いるのに十分の大きさの多孔質構造を構築した。このポルフィリン部位にコバルトを担持させ、不均一触媒として用いたところ、TBHPをもちいたエチルベンゼンの酸化反応では、一般的な触媒を用いたものに比べ、3倍の反応効率が得られた。一方で、反応が進んでいくと多孔質構造の乱れが生じ、反応効率が低下した。このことから、多孔質構造の安定化が重要なカギとなる考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触媒金属配位可能な大きな空孔を持つ多孔質構造の構築を目的としていた。研究自体はおおよそ予定通り進んでいたが、コロナウィルスの蔓延による緊急事態宣言による所属機関の方針により、成果とりまとめに不可欠な実験実施が困難となり遅滞が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度ではモデル的な多孔質構造の構築に成功した。この多孔質構造の構築プロセスを多様な構造に展開するために、アミン側の構造に注目し、様々な触媒金属配位可能なスルホン酸においても多孔質構造の構築の設計指針を確立する。
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