本研究課題では、近年急進展しているファンデルワールス磁性体の物質群を広げること、さらにそれらにスピン流を注入することで、磁気転移温度近傍の磁気ゆらぎを、スピン変換を介して電気的に検出することを目指した。原子層反強磁性体CeTe3では磁気転移温度以下で磁気的な性質を伴った量子振動を観測した。三角格子反強磁性体Ag2CrO2では磁気転移温度以下で特異な異常ホール効果を観測した。また原子層強磁性体Fe5GeTe2と強磁性パーマロイの2層膜に対してスピントルク測定を行い、磁気転移温度以下で大きな信号変化を観測した。これらの結果は、磁気転移がスピン変換に大きな影響を与えていることを実証したものである。
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