研究課題/領域番号 |
20H02560
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
岡田 直也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (10717234)
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研究分担者 |
内田 紀行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (60400636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シリサイド / 磁性 / スピン / 遷移金属内包シリコンクラスター / 磁性半導体 / 遷移金属 |
研究実績の概要 |
本研究では、WSin膜の組成比nを、これまでの6-12(W原子濃度:~1022 /cm3)の制御範囲から、~6-105(W原子濃度:~1017-1022 /cm3)へと大幅にSiリッチ化して、磁性ドーパントとなるW原子を希薄化する。これには、WSin膜の形成技術を発展させた、クラスターエピタキシー法を利用する。先ずは、W原子濃度の制御のために、Siエピタキシャル成長速度とMSinクラスター合成速度の基板温度依存性を明らかにすることが、クラスターエピタキシー法を確立する上で最重要課題となる。今年度は、既設のCPD装置を活用して、WSin膜のエピタキシャル成長を検証した。極薄膜(膜厚<10nm)のSOIを作製し、その上にWSinのエピ成長を試みた。WSinの成膜装置の改造と成膜条件(基板温度と壁温度)の探索を実施することで、数nm程度の膜厚のエピ膜の成長を実現した。しかし、これらの膜のホール効果測定や光磁気測定を行ったが、磁性の発現には至らなかった。WSin膜の強磁性とW濃度の依存性を明らかにしていくために、今後、WSinの組成比nの探索と、SOI基板側のキャリアタイプとキャリア濃度の制御を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、(1) WSin膜中の単一W原子濃度の広範囲制御、(2) W原子濃度の選択によるスピン状態の制御ホール効果測定、を課題としている。現在までにWSin膜のエピタキシャル成長まで実現しているが、(1)のW原子濃度の制御範囲の解明や、(2)の磁性発現までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにWSin膜のホール効果測定や光磁気測定を行ったが、磁性の発現には至っていない。この課題解決のために、①WSinの結晶性の向上、②WSinのn濃度の最適化、③下地のSOI基板のキャリア濃度の最適化、が必要と考え、これらについて今後、検証していく。
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