研究課題
ホットインジェクション法を用いて、ペロブスカイトAPbX3(X = Cl-、Br-、およびI-)量子ドット(PQD)を作製し、量子ドット太陽電池へ適用した。今年では、PQD のAサイトはそれぞれセシウム(Cs)、メチルアンモニウム(MA )、またはホルムアミジニウム(FA)とそれらの混晶を用いた。主にAサイトの違いによるPQD結晶構造、光物性と光励起キャリアダイナミクスおよび量子ドット太陽電池の光電変換特性の変化について検討した。透過型電子顕微鏡(TEM)およびエネルギー分散型X線分光(EDS)測定の結果から、混晶したPQDでは、混晶されたAサイトの成分はPQD全体でランダムに分布していることが判明した。さらに、Aサイトの混晶化によりPQDのフォトルミネッセンス量子収率が向上したことを見つけた。大変興味深いことは、Aサイトの混晶化により、ペロブスカイト量子ドット太陽電池の光電変換効率は12%ぐらいから約15%までに向上したことに成功した。さらに、AサイトはPQDの光励起キャリアダイナミクス、特にホットキャリアの緩和プロセスに大きな影響を与えることを見出した。さらに、カルボキシル基を持つ一連の半導体配位子を使用することにより、PQDからCoolキャリアとホットキャリア両方を効率的に抽出することが可能であることを発見した。光励起ホットキャリアダイナミクスを解析した結果、PQDのホットキャリアの冷却が大幅に延長され、ホットキャリアの抽出が容易になることが分かった。半導体リガンドとCsPbI3QDの間の化学結合、電子結合、およびキャリア移動は、ドナー-アクセプターシステムでは互いに共生していることが示唆された。これらの結果は、Coolとホットキャリアの抽出と太陽電池への利用を実現する要因に光を当て、多重励起子型とホットキャリア型太陽電池を設計するための戦略を提供できる。
1: 当初の計画以上に進展している
(1)量子ドット太陽電池の太陽電池は15%以上に達成し、この分野で世界トップレベルである。(2)ペロブスカイト量子ドット中の光励起キャリアダイナミクスを解明し、ホットキャリアを抽出できる手法を見つけた。
引き続き、以下の項目を推進する。(1)量子ドットと電子輸送層およびヘテロ接合量子ドット太陽電池の作製(2)ヘテロ接合量子ドット太陽電池の各界面制御方法の確立(3)量子ドット太陽電池における各界面での電荷分離機構の解明(4)MEG型ヘテロ接合量子ドット太陽電池の創成と高効率化への指針の提案
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件)
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