研究課題
本研究のかなめとなるMOCVD装置の整備を行った。本研究で用いているのは、縦型コールドウォールタイプのMOCVD装置であり、予備的検討からナノメートルスケールの極微細2次元構造が実現できることがわかっていた。ただし、装置の安定性の問題や今後の展開を見据え、装置の整備・改造が必要であった。このため、当初の予定通り装置の改造・整備を中心に検討を進めた。具体的には、ロードロックチャンバーの設置、プレッシャーレギュレーターの設置、自動化ソフトウエアの導入、酸素濃度計の導入、などである。これらを順調に終え、本格的な検討を行うための基盤が整った。整備した装置の試運転を行ったところ、SiO2上では20um以上の単層の単結晶が、hBN上では3~5um程度の単層の単結晶が再現性良く成長することがわかった。また、成長した単層WS2の2端子デバイスを作製しFET特性を評価したところ、10^6以上のオンオフ比が得られた。今後はそれぞれの成長条件を確認した後、種々の超構造へと展開していく予定である。また、当初の予定になかったポストドーピングを用いた超構造の作製にも展開することができた。具体的には、単層WSe2などのSe系原子層を対象に、Nbを挿入することで組成変調超構造が実現した。作製した試料の電気伝導を調べたところNbが挿入されることで多量の正孔が導入され、p型半導体として動作することがわかった。次年度以降は、この展開も合わせて進めていきたいと考えている。
1: 当初の計画以上に進展している
予定通りの改造に加えて、当初以上に装置の整備を詰めることができ、完成度の高いシステムとなった。さらに、個々の2次元結晶の結晶成長の条件を大まかに押さえるところまで実験を進めることができた。加えて、当初の計画になかったポストドーピングを用いた新たな手法に基づいた研究も展開することができた。以上から、当初の計画以上に進展していると判断した。
当初の予定通り、改造した装置を用いて系統的な条件調査を行い、個々の結晶成長条件を確認した後、超構造へと展開する。AFMおよび透過型電子顕微鏡を用いた構造評価を中心に研究を進め、種々の超構造を実証した後、その光・電子物性へと展開する。
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