研究課題
再生可能エネルギー由来の電力を用いたCO2の電解還元は、常温・常圧下で進行することからクリーンかつグリーンなフィードストック製造法として活発に研究されている。しかし、CO2電解(CRR)の生成物はCOやエチレンなどのガス状小分子に限られているのが現状である。エネルギー密度が高く可搬性に優れている液体生成物を高速・高選択的に生成することができれば、本技術の大きな発展につながる。そのような背景のもと、本課題では、複数の単核金属活性中心サイトをハイブリッドすることで、COを介したカスケード反応によってワンポッドで液体生成物の合成を目指す。本年度においては単核Niを担持した共有結合性トリアジン構造体が、ガス状CO2を90%以上の高い選択率および100mA/cm2を超える高電流密度でCOに還元できることを実証した。また、同様にスズを単核状態で担持した場合にはギ酸の選択生成が確認された。さらにCuを単核状態で担持した試料においてはCOを酢酸に選択的に還元できることを見出だした。バルク銅触媒ではエチレンが主生成物であることを考えると、単核金属中心構造に由来した特異な反応選択性が発現したことを示唆する結果である。これらの反応系をハイブリッドする場合に中間生成物がいかに拡散するか、ひいてはどのようなハイブリッド構造が適しているかを予測するために、古典分子動力学計算の立ち上げを行った。ガス状CO2電解の反応界面である、基質/触媒/電解質の三相界面のモデリングが完了済みである。
2: おおむね順調に進展している
各素反応のサイト開発が順調に進行しているため。
各反応のメカニズムを第一原理計算を用いて明らかにするとともに、これらの各サイトをハイブリッドすることで、ワンポッドでCO2から酢酸を生成することができる反応系の構築を目指す。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 2件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (35件) (うち国際学会 7件、 招待講演 7件)
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