メンブレントラフィックや、細胞遊走などのダイナミックな動きは、細胞内シグナル伝達により調整されている。シグナル伝達の起源となる受容体の位置、感受性、刺激の強度や周期、表面形状変化との関係など、複雑な細胞機能のシームレスな理解には、局所刺激技術・表面形状イメージング技術・シグナル伝達の計測技術の3つを統合させる必要がある。そこで、走査型プローブ顕微鏡と、Forster resonance energy transfer (FRET)バイオセンサーの融合技術を開発し、局所刺激に伴うシグナル伝達や構造変化の関係を調査した。具体的には、ガラスナノピペットをプローブとして利用し、生細胞表面の形状測定に特化した走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)により、細胞膜表面のナノスケールの形状を可視化しながら、Rac1の活性をFRETバイオセンサーにより可視化し、COS7細胞の先端部分の細胞膜のラッフリングとシグナル伝達の関係を評価した。
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