研究課題/領域番号 |
20H02592
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高村 禅 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20290877)
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研究分担者 |
廣瀬 大亮 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (20854673)
浮田 芳昭 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40578100)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 1分子計測 / バイオセンサ / ディジタル計測 / タンパク質 / 核酸 / FETセンサ / 酸化物TFT / オープンサーキットポテンシャル |
研究実績の概要 |
2021年度に行った、3つの課題について、成果を次にまとめる。 1.Open Circuit PotentialとOxide TFT arrayを用いた分子計数技術開発 Ptナノ粒子を標識した抗体を用い、酸化剤あるいは還元剤を導入すると、触媒効果で、電極に電荷が移動し、その電極電位(Open circuit Potential:OCP)の変化により、1分子を検出し、ディジタル計測につなげる。令和3年度までに、より大きなOCP信号を発生させるための必要条件を調べた。また、表面の白金粒子密度、電気2重層容量をより正確に測定し、それらの結果を理論的モデルと合わせて検証し、ナノ粒子1個当たりの還元電流の大きさを見積もった。 2.固体電解質ゲートTFTによる高性能核酸センサ開発 令和2年度に引き続き、固体電解質ゲート酸化物TFTを用いDNAやRNAの高感度検出およびそのメカニズム解明を目指した。令和3年度までに、TFT構造やプロセス条件、測定条件など、特性を不安定化させる要因を徹底的に精査し、参照電極に起因する不安定化要因や、表面処理に起因する不安定要因をあぶりだした。 3.紙ベースディジタルELISA/PCR計測法の開発 ニトロセルロース膜の網目に抗体を固定化し、抗原を捕獲させる。捕獲した抗原1分子を核として選択的に色素塊を、肉眼でも見える大きさまで成長させることを試みる。より効率の良い増幅の候補として これまでの(i) ALP BCIP/NBTを用いた増幅系、(ii) 銀イオンによる増幅系、 (iii)Bridge Amplificationを用いた系を試みた。その結果、(ii)と(iii)の系において、比較的良い結果を得た。また応用先として18オキソコルチゾールの測定を計画しており、抗体や試薬の入手難で難航したが、最終的に検出系を構築できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた3つの課題のうち、1.と2.の課題に関しては、予定通り進んでいる。特に、1の課題では、1ナノ粒子の触媒効果で電極に受け渡す電荷の量が見積もられたことは、これからのデバイスの設計や、性能の見積もりがより具体的に可能となり、大きな成果と考える。3.は、元々チャレンジングな課題であり、簡単には進まない。しかし、実験数はかなり実施でき、多くのデータが得られ、そこから課題の本質が分かってきた。その意味で、おおむね順調に進んでいると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
3つの課題ごとに今後の計画の推進方策をまとめる。 1.Open Circuit PotentialとOxide TFT arrayを用いた分子計数技術開発 令和3年度までの研究で、表面の白金粒子密度、電気2重層容量をより正確に測定し、それらの結果を理論的モデルと合わせて検証し、ナノ粒子1個当たりの還元電流の大きさを見積もることができた。これらを踏まえ、令和4年度は、電極や測定系を再設計し、実際に1分子計測が可能な実験系を構築する。さらにアレイでの測定を行い、OCPによるデジタル計測の実証を試みる。デバイスの作成を廣瀬が、一分子測定と解析を開発を高村が担当する。 2.固体電解質ゲートTFTによる高性能核酸センサ開発 令和3年度に引き続き、固体電解質ゲート酸化物TFTを用いDNAやRNAの高感度検出およびそのメカニズム解明を目指す。令和3年度までに、TFT構造やプロセス条件、測定条件など、特性を不安定化させる要因を徹底的に精査し、参照電極に起因する不安定化要因や、表面処理に起因する不安定要因をあぶりだした。令和4年度は、これら不安定化要因の対策を行い、安定かつ高感度なデバイスを開発する。また、実サンプルの測定も行い、優位性を実証していく。本年度は、廣瀬がTFT開発、浮田が微小流体系を開発、高村が解析と評価を行う。 3.紙ベースディジタルELISA/PCR計測法の開発 令和3年度までに、 (i) ALP BCIP/NBTを用いた増幅系、(ii) 銀イオンによる増幅系、 (iii)Bridge Amplificationを用いた系を試みた。令和4年度は、この中で比較的感触の良い、(ii)と (iii)の系について引き続き研究を行うとともに、新規の系も模索する。役割分担は、引き続き高村が増幅系、浮田がフロー系の開発を行う。
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