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2021 年度 実績報告書

細胞の3次元パターニングによるオンチップ心臓創成

研究課題

研究課題/領域番号 20H02596
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

田中 陽  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (40532271)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード心臓 / 3次元パターニング / 心筋細胞 / 薬剤試験 / オルガノイド
研究実績の概要

臓器や細胞の複雑な構造や機能の再構成は、生物学・医学のみならず、創薬や再生医療に向けても近年その重要性を増している。だが、従来の研究はデバイス中に2次元的に細胞を並べるだけで、その機能を再現しているとは言い難かった。本研究では心臓を例にとり、心筋細胞がどのようにブリッジや中空の構造を形成しているかも力学的機序を明らかにして微細デバイス内に立体的に配置・制御し、その収縮力によるポンプ機能と自己還流機能を備え、薬剤試験や再生医療に応用しうるオンチップ心臓を作ることを目指す。
当該年度は、心筋細胞ポンプが実際に医学や医療に応用できることを示すため、iPS細胞を用いて作製した心筋細胞シートを用いて、これが薬剤に応答して挙動が変わることを示し、その有用性を明らかにした。具体的には、以前に開発した心筋シート駆動型ポンプ(Lab Chip, 6 (3), 362-368 (2006))を改良して細胞接着性を向上させたデバイスを用いて、iPS細胞を心筋細胞に分化させて温度応答性培養皿から剥離したデバイスを装着し、数日後に拍動が速くなる、および遅くなる薬剤を加え、微粒子により可視化した微小流路内の流体を観察することで拍動数や拍動の強さを計測した。薬剤の濃度に対してリニアな応答が見られ、薬剤探索に用いられることが実証された。さらに、その感度は通常の心筋シートの力計測系に比べて2桁程度向上し、非常に微小な変化も感知できるような高度なデバイスを作製することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、医学応用も視野に入れて、iPS細胞を用いたデバイスの作製とその薬剤応答について検証することができ、感度も2桁上昇するなどその性能も十分であったことから、当初の目標通りの進展がみられたといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、細胞がデバイス上で通常の状態と比較して問題がないかなどを検証しデバイスとしての有用性のチェックを行う。さらに、実際に埋め込みデバイス等に応用していくためにはこれに電源を供給するような発電機能も必要となるため、実際に身の回りで発電が可能なシステムについても検討していく。また、これまでの主な研究成果を学術誌論文にまとめ、発表する。

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公開日: 2023-12-25  

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