研究課題
臓器や細胞の複雑な構造や機能の再構成は、生物学・医学などの分野のみならず、創薬や再生医療に向けても近年その重要性を増している。だが、従来の研究はデバイス中に2次元的に細胞を並べるだけで、その機能を再現しているとは言い難かった。本研究では心臓を例にとり、心筋細胞がどのようにブリッジや中空の構造を形成しているかも力学的機序を明らかにして微細デバイス内に立体的に配置・制御し、その収縮力によるポンプ機能と自己還流機能を備え、薬剤試験や再生医療に応用しうるオンチップ心臓を作ることを目指す。当該年度は、昨年度までに確立した心筋デバイスの基礎的な機能の検証とその医学応用に向けた実証実験の結果を踏まえ、これを実際に埋め込みデバイス等に用いる際に問題となる電源の問題を解決するため、人の動作で発電が可能な環境発電機の作製について検討を行った。具体的には、人のゆっくりした低周波の動きで発電を可能とするため、水の解離現象を利用し、ガラスの微細流路に水を流すことでイオンの分離を起こし、これによって発電するような小型のデバイスを開発し、数mWレベルの発電や無線通信が可能なことを示した。これは、外部との通信により、埋め込みデバイスの操作や体の状態のフィードバックを得るといった機能を実装することにもつながり、埋め込みデバイスの可能性を大きく拡げたといえる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Analytical Chemistry
巻: 94 ページ: 16299-16307
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Scientific Reports
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