研究課題/領域番号 |
20H02610
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松本 祐司 東北大学, 工学研究科, 教授 (60302981)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 酸化物薄膜 / ナノ傾斜組成変調 / 光触媒 / 電池材料 / 強誘電体・磁性体 |
研究実績の概要 |
計画1 光触媒材料への応用 (電子・光)「MgZnOのバンドギャップ/分極傾斜膜と光励起キャリア寿命」昨年度の結果をもとに,人工的に導入したバンドギャップ傾斜構造が光電気化学特性に与える影響を検討した。 その結果,光CV曲線測定では,ダウングレード膜の方がアップグレード膜よりも光アノード電流密度が有意に増強され,さらに,光酸化能の観点からは,AgNO3水溶液を用いた光反応実験において,ダウングレード膜の方がアップグレード膜よりも多くの銀酸化物を生成することが確認された。 計画2 磁性材料への応用(磁気)「傾斜組成La1-xSrxMnO3薄膜の作製と磁気相図と磁気抵抗効果」LSAT(001)基板上に作製したLa0.7Sr0.3MnO3(LSMO)膜に4dのRuを添加すると磁気異方性が変化するとの報告から,Ru添加濃度が傾斜したRu:LSMO膜を作製し,SIMS測定からその組成傾斜構造を確認した。 計画4 電極材料開発への応用(イオン)「LiCoO2-LiNiO2傾斜組成膜の作製とLi拡散」昨年度に引き続き,STO(001)基板上でLi1.4Ni2/3Mn1/3O2(NM) とLi1.4Ni1/3Mn1/3Co1/3O2(NMC)の単膜作製条件の最適化とそのCo傾斜組成膜を作製した。 XRDによるCoの濃度変化に対するc軸長変化が既往の報告結果と概ね一致することで,堆積条件の最適化を確認した。この結果に基 づき,Co組成が膜厚方向に増大した傾斜組成薄膜を試作した。その結果,XRD測定によるピークのブロードニングから組成が傾斜してい ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画1 光触媒材料への応用 (電子・光)「MgZnOのバンドギャップ/分極傾斜膜と光励起キャリア寿命」研究計画はほぼ終了し,論文投稿の準備を進めている。 計画2 磁性材料への応用(磁気)「傾斜組成La1-xSrxMnO3薄膜の作製と磁気相図と磁気抵抗効果」当初の系とは異なるが,磁気異方性の傾斜膜は,金属磁性膜での方ではいくつか報告があるが,酸化物薄膜についての報告はない。そのモデルケースとして, Ru:LSMO膜の傾斜組成膜の作製条件については,ほぼ最低聞かされたので,順調である。 計画4 電極材料開発への応用(イオン)「LiCoO2-LiNiO2傾斜組成膜の作製とLi拡散」2つのタイプの傾斜組成電極薄膜の作製条件の最適がほぼ終了し,現在,電池特性の評価を進めているところで,概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
計画2 磁性材料への応用(磁気)「傾斜組成La1-xSrxMnO3薄膜の作製と磁気相図と磁気抵抗効果」今後は,構造や組成分布の詳細な解析と,磁気特性の評価を行っていく。 計画4 電極材料開発への応用(イオン)「LiCoO2-LiNiO2傾斜組成膜の作製とLi拡散」引き続き,電池特性の評価に取り組む予定である。 計画3強誘電体への応用「Ba1-xSrxTiO3薄膜の蕗につ生とdiffuse phase transition」の課題に着手する。
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