研究課題/領域番号 |
20H02622
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高橋 竜太 日本大学, 工学部, 准教授 (80546573)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 圧電体 / メンブレン / 酸化物エレクトロニクス |
研究実績の概要 |
BaTiO3単結晶薄膜の結晶性を向上させる方法としてパルスレーザー堆積法を用いた薄膜合成に関連する研究を実施してきた。レーザー加熱手法によって1000度近 い高温でBaTiO3薄膜を堆積することで高結晶化することがわかってきている。この薄膜プロセスを適用し、BaO薄膜の上にBaT iO3薄膜を堆積する実験を行う。BaO 薄膜は岩塩構造の結晶を有し、水に溶解する化合物として知られている。さらに45度面内方向に回転した方向に対して、ペロブスカイト強誘電体として利用され るSrTiO3基板と格子整合性が優れていることもわかっている。BaTiO3/BaOのヘテロ構造をSrTiO3(001)基板上に堆積し、水に浸すことでBaTiO3薄膜を自立化させ、 フレキシブルな薄膜結晶として剥離し、任意の基板上に転写することに成功した。初年度である2020年度は、この自立膜の圧電性の機能評価のために、所有する プローブ顕微鏡に圧電特性を測定するための機能について測定治具とソフトウェアを購入し、その立ち上げ作業を行ってきた。その結果、ケルビンフォース顕微 鏡、そして圧電性顕微鏡として利用することが可能になり、圧電性を有する機能性薄膜のナノスケール物性の評価が可能になった。この手法を用いてBaTiO3薄膜 のメンブレン単結晶の圧電性の評価を実施することが可能になった。今後の研究ではこの評価プロセスを利用しながら研究開発を実施し、メンブレン単結晶を用 いた振動発電デバイスを開発を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に実施したサポート層の材料選択が順調に進み、メンブレン単結晶の作成と評価を実施することができた。以上から総じて、”おおむね 順調に進展し ている”とした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に立ち上げを行った装置と開発したプロセス、そして2年目に行ったサポート層の材料選択の成果を併用しながら、無機-有機ハイブリッド界面を用いた振動発電デバイスを作製していく。特にサポート層としてハライドペロブスカイト材料が有効であることがわかり、そのフレキシブルな特性を生かしつつ、最終的に振動発電の出力をより一層向上させるべく、デバイス構造の検討を進める。
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