研究課題/領域番号 |
20H02627
|
研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
山本 和生 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 主席研究員 (80466292)
|
研究分担者 |
吉本 則之 岩手大学, 理工学部, 教授 (80250637)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 有機EL / オペランド計測 / 電位分布 / 電子線ホログラフィー / 透過型電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
これまで有機薄膜成膜装置を用いて作製してきた有機EL試料(Alq3/alpha-NPD)の劣化前後における電位分布の変化を電子線ホログラフィーで観察してきた.長時間発光後の劣化は,alpha-NPD層に顕著に見られる傾向があったが,電子顕微鏡観察による電子線照射の影響も無視できないことがわかってきた.そこで,低い電子線照射でも電子線ホログラフィー計測ができるような実験条件および機械学習による情報の取得方法について検討した. 電子線のドーズレートを130 e/nm^2/sまで低くし,露光時間0.5 sで350枚のホログラムを連続的に撮影した.また,十分な露光時間30 sで得たホログラムも数枚撮影した.露光時間0.5 sで撮影した各ホログラムは極めてノイジーであるが,3Dテンソル分解法と呼ばれる機械学習を用いることによって350枚すべてのホログラムから特徴量を抽出し,各ホログラムのノイズを除去した画像を350枚再構築した.その結果,得られた1枚の電位分布は,露光時間30 sで得られた分布と同程度の精度が得られることがわかった.つまり,3Dテンソル分解法を用いれば,電子線照射量を1/60にしても,同等の電位分布が得られることを実証した.この350枚の電位分布を解析した結果,Alq3層の電界値が累積電子線照射量に従って微妙に低下していることがわかった.このことから,電位計測に許容できる電子線照射量は,1.7 x 10^5 e/nm^2であることがわかった.この結果は,長時間の計測が必要となるオペランド電子顕微鏡観察にとって重要な結果であり,その成果をMicroscopy誌に掲載した.
|
現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
備考 |
2022年度 日本セラミックス協会 学術写真賞 優秀賞 「高感度位相シフト電子線ホログラフィーによる有機EL素子内部の電位分布直接観察」佐々木祐聖(岩手大),吉本則之(岩手大),山本和生,穴田智史,平山司
|