研究課題/領域番号 |
20H02632
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
渡辺 健太郎 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (40582078)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 単結晶自立ナノロッド / ZnO / 溶液成長 / 選択成長 / 圧電変換 |
研究実績の概要 |
発電所のタービンや金属・プラスチック等の成型工場など常時高温下に晒されるインフラや大規模設備を、稼働を止めることなく高温下で劣化クラック検出可能な高温超音波探触子の実現が求められている。その圧電素子材料として超高面密度・超高配向ZnO自立ナノロッド(NR)配列構造の検討を行った。昨年度までに、2020年の研究機関の異動(東北大学→信州大学)に伴う主催研究室の立ち上げ作業の他、以下の研究成果が得られた。 ①SEM-CL顕微分光装置内に導入した可動金属プローブ電極を用いて、SEM観察しながら任意の個々のZnO自立NRの2端子電気伝導率評価を行う「その場"差分"I-V測定」法を開発し、同手法を用いてNR電気伝導率の個体差を弁別評価可能なことを示した。②ZnO自立NRの電気絶縁性を高めるため、酸素雰囲気中でのアニール処理温度を検討した。各温度でアニール処理後の個々のNRに対し、電気伝導率とCL像/CLスペクトル点分析の同時測定を行った。アニール温度を最適化し、NR電気伝導率の3桁低減に成功した。③ZnOの前駆体溶液に対する添加剤を検討し、ZnO NRのアスペクト比および電気伝導率制御が可能であることを確認した。④XRDおよびSEM-EBSDによる結晶構造解析により、ZnO NR配列試料がZnO(0001)自立NR//Au(111)薄膜//Si(111)基板のヘテロエピタキシャル成長関係を有するという知見を得た。よって、100℃以下の極低温プロセスにより超高面密度かつ完全配向したヘテロエピタキシャルZnO自立NR配列の作製技術開発に成功した。⑤ZnO自立NRの面密度および直径制御性の向上のため、微小球UVリソグラフィを用いてSi(111)基板上のAu(111)成長サイトを周期配置したテンプレ―ト基板を作製し、これを用いてZnO自立NRの面内周期配列構造を実現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
信州大学での研究室立ち上げがほぼ完了し、更に「研究実績の概要」にある諸成果を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、以下の研究項目を実施する。 ①NR圧電特性評価法として圧電分極-電界(P-E)測定やLCRインピーダンス測定などを立ち上げる。 ②走査電子顕微鏡内での個々のZnO自立ナノロッドの応力-歪特性評価および圧電特性も試みて、NR配列構造の改善に繋がる知見を得る。 ③テンプレート基板を用いた超高面密度・完全配向ZnO自立ナノロッド周期配列における直径制御性を改善する。また、テンプレート領域の大面積化を検討する。 ④ZnO自立ナノロッド配列の圧電特性評価における参照試料である同膜厚のZnO(0001)薄膜/Au(111)薄膜/Si(111)基板について、溶液成長ZnO膜の緻密性を向上させる。 ⑤上記の試料構造に対して上部電極を形成し、圧電素子を作製する。得られたNR配列構造および薄膜構造の圧電素子の電気特性評価・圧電応答評価を室温下および高温下で行う。
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