研究実績の概要 |
本研究の目的は,光の持つ位相・偏光の空間的特異性・非一様性に着目し,申請者らが現在までに独自に開発したモノサイクル域光パルス発生・制御技術,超短光パルスコヒーレント合成技術,光のスピン軌道相互作用変換・制御技術を用いることにより, THzの速さでビームパターンが変化する光格子(光渦ペア)を発生させること,さらに,物質系において,発生光渦ペアによる擬粒子励起を行い,その伝播過程を利用してコヒーレントな制御・増強を行うことである。 既に申請者らは,THz回転周波数の超高速回転光格子(光渦ペア)発生に成功しているが,物質系における擬粒子励起などの応用を考えると,十分な光出力とはいえない。そこで,まず,THz回転周波数の超高速回転リング状光格子(光渦ペア)の高強度化をめざし,当該年度は以下を行った。 光源の高強度化として,Ybファイバーレーザー発振器(中心波長1030 nm, 繰り返し周波数 40 MHz, 平均パワー ~25 mW)からのフェムト秒パルスをチャープ・ファイバー・ブラッグ・グレーティングにより~500 ps にストレッチした後,前置増幅,主増幅のファイバー増幅器による増幅を行った。主増幅のファイバー増幅器コア径を15 μmとすることにより,ファイバー内部の非線型効果を抑えて高効率増幅を実現し,繰り返し周波数200 kHz, パルス幅~200 fs, 平均出力 1.2 W(パルス圧縮後)の高出力パルスを得ている。 また,光渦の重ね合わせ光学系としては,光損失が少なく安定でロバストなコヒーレントビーム合成光学系として,サニャック型干渉計光路を用い,超高速回転リング状光格子の高効率発生を実現した。
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