研究課題
基盤研究(B)
全ての物質は、粒子と波の両方の性質を有している。波としての性質を最も有効に活用されている代表例は光である。波には回折という現象があるが、現代の光技術はその回折限界に達している。一方、電子波に対する技術開発は発展途上であり、電子の波としての性質を最大限には活用できていない。本研究では、電子波に対して、その回折限界に迫る回折素子を実現するための作製技術の開発を行った。具体的には、ほとんどの電子が透過できる薄膜材料をナノ加工できる技術開発に成功した。
光工学
本研究では厚さが数10nmの自立した薄膜のレーザー加工を実現した。この厚さでは、ほとんどの電子が透過できるようになるため、回折素子としての効率が格段に向上することが期待できる。また、光の運動量は極めて小さいため、代表的なナノ加工法である集束イオンビームに較べると、加工ダメージが小さいという利点がある。さらに、加工は1パルスのレーザー照射だけで十分であり、原理的には1秒間に10000個以上の加工が可能となる。