研究課題/領域番号 |
20H02650
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小関 泰之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (60437374)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ラマンイメージング / 蛍光イメージング / 誘導ラマン散乱 |
研究実績の概要 |
2020年度に、蛍光/ラマンイメージングを用いる超多色イメージング法を確立した。具体的には、ビデオレート蛍光/ラマン顕微鏡を開発し、培養細胞の細胞核、アクチン、チューブリン、細胞膜を蛍光染色し、ミトコンドリア、ライソソーム、小胞体、脂肪滴をラマンプローブ染色することで、8種の細胞小器官の同時観察を実現した。また、SRS像に対してノイズ低減、成分分離、セグメンテーションなどの画像処理を施し、画像データの特徴抽出を行った。その結果、さまざまな培養条件における小器官の共局在の違いや、代謝のダイナミクスを1細胞レベルでイメージング計測することに成功した。以上の結果をまとめて論文投稿を行った。 また、同システムを用い、多重酵素イメージングのためのラマンプローブ分子の計測実験を進めた。本ラマンプローブは周囲環境に応じてラマン応答のON/OFFを実現し、超多色イメージングの機能を大きく高めるものである。本研究は、2020年10月以降、学術変革研究(B)に受け継がれた。また、光スイッチングの可能なラマンプローブの実証実験を進めた。これは、フォトクロミック分子に光を照射することでSRSイメージングにおけるラマン応答変化を誘起できることを初めて示したものであり、SRSイメージングの更なる高機能化に資する。さらに、同システムを用いて、植物細胞中の代謝物の多色無標識計測、微細藻類中の脂肪滴のSRS計測、ラマンプローブ分子による代謝物の取り込み実験を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画で予定していた超多色蛍光・ラマンによる細胞機能解析法の確立に成功した。さらに、アクティベータブルラマンプローブや光スイッチングラマンプローブなど、新しい展開を見出すこともできている。以上のことから、当初の計画以上の進捗を得るとともに、本研究の2年目以降に多種多様なイメージング実験を行う体制を整備できた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に確立した蛍光/ラマンによる超多色イメージング法を用いて、細胞の薬剤応答、代謝のダイナミクス、複数の小器官の相互作用の計測などを通じて生物学的に新しい知見を得ることを目指す。また、多数の細胞の計測を実現するため、ステージスキャンによるタイリング画像取得系を整備する。
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