本研究では、中赤外域で多数の櫛からなるスペクトル構造を有し、周波数間のコヒーレンスに優れるモード同期レーザーの創出を目的とした。本研究の基盤となるCr:ZnSレーザーを開発し受動モード同期発振を実現した。高次分散設計を施した誘電体多層膜ミラーを導入することにより中心波長2.3ミクロンで時間幅30フェムト秒(光電場振動4サイクル)のパルス発生に成功した。本レーザーを用いてバックグラウンドフリー吸収分光システムを構築し、1ミリ秒で吸収スペクトルを高感度に捉える振動分光を実現した。さらには、分子振動の共鳴吸収を活用して、モード同期レーザーのスペクトル構造を精密に制御する手法の原理実証に成功した。
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