本年度は、高速近接場光学顕微鏡用の金属探針作製を行った。マイクロカンチレバーに電子ビームデポジションによって、カーボン探針を作製し、さらに金や銀などの貴金属を真空蒸着法を用いて塗布することによって金属化させた。作製した金属探針を電子顕微鏡を用いて、詳細に観察した。さらに、作製した金属探針を高速近接場光学顕微鏡測定に応用し、近接場光学イメージングが可能であることを確認した。また、液中環境下での近接場光学測定では、塗布した金属が劣化してしまうことを確認した。連続して使用することができないため、金属探針をリサイクルして再作製できる方法を確立した。高価なマイクロカンチレバーを使い捨てすることなく、測定できる環境を整えた。 また、自作したミラースキャナーシステムについても、より口径のビームを扱うことができるように、ミラーサイズを拡大するなど改良した。より精密に金属探針とフォーカススポット位置を合わせられるよう、光学系を改良した。 さらに、入射レーザーが生体試料に与える影響についても評価した。入射レーザーパワーを変えながら、生体試料を観察すると、高強度の場合において試料がダメージを受け飛散していく様子が観察された。高速近接場光学測定においては、試料に応じて高強度のレーザーパワーを用いる必要があるため留意すべきである。各生体試料に対して入射レーザーパワーを最適化することに成功した。 その他、分光計測との複合化など、高速近接場光学顕微鏡の改良を大きく進めることができた。
|