研究課題/領域番号 |
20H02661
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50510129)
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研究分担者 |
秋山 英二 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70231834)
波多野 雄治 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (80218487)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 中性子照射 |
研究実績の概要 |
第一に、中性子照射手法の開発を行った。ベルギーBR2を利用して高温・水素雰囲気照射を行うための照射キャプセルを試験するための照射試験チェンバーを作製した。試験チェンバーには電気ヒーター・熱電対・ガスフローシステムなどを設け、試験を精度よく実施可能な構造とした。 第二に、試料を準備した。鉄-クロム2元系合金やF82H等について、微小引張試験片(4×0.25×16 mm3)およびディスク試験片(φ6×0.2 mm3)等を作製した。これら の試料厚さは中性子照射中の水素拡散長よりも十分に小さくした。 第三に、上記試料のミクロ組織観察および昇温脱離分析を行った。ミクロ組織観察は、金研大洗センターに整備されている透過電子顕微鏡(対象:転位組織、クロムリッチ相、粒界偏析/欠乏、炭化物界面)、陽電子消滅測定(対象:空孔、空孔-水素複合体、空孔クラスター、クロムリッチ相)、3次元アトムプロープ(対象:クロムリッチ相、溶質クラスター、粒界偏析/欠乏、炭化物界面)を用いた。さらに、同じく金研大洗センターに整備されている昇温脱離分析装置で、水素蓄積量を定量評価した。その結果をミクロ組織観察の結果と直接比較した。 以上により、【ア】空孔クラスターの形成・成長の促進、【イ】溶質原子拡散の促進または抑制、【ウ】転位組織の形成・発達の促進、【エ】金属水素化物の形成、【オ】炭化物組織の回復の促進等について観察し、電子線照射組織の形成・発達に対する水素効果をそれぞれ調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水素雰囲気での中性子照射の準備を進め、照射試験チェンバーの開発作製に成功したとともに、BR2との協議はベルギーにおけるCOVID-19禍による中断があったもののおおむね順調に進展しているため。また、試料準備およびミクロ組織観察・昇温脱離分析もおおむね順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
ベルギーBR2での中性子照射の準備を進める。BR2のVan Dyck博士らと緊密に協議して進める。ベルギーでのCOVID-19禍によりBR2運転プランの変更による照射時期の後ろ倒しや試料の国際輸送の遅れ等により、中性子照射試料の入手が遅れる可能性も考えられるか、その場合でも、電子線照射実験の成果を活用して一定の成果を確実に得るため、電子線照射実験などを平行して行う。
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