研究課題
本研究では、昨年度まで開発してきた高速化Self evolving atomistic kinetic Monte Carlo (SEAKMC)を高エネルギー粒子照射環境(カスケード損傷)で形成する自己格子間原子の安定形態への変換過程に適用した。同法は、計算ステップ毎の原子配置に基づいて、発生しうる現象とその活性化エネルギーを探索しナノ組織の時間進展を解析する計算手法 on-the-fly kinetic Monte Carlo (KMC) の1種であり、分子動力学(MD)と同等の精緻性を確保しつつ、時間スケールを大幅に拡張できる手法である。従来のMD計算のみでは、時間スケールが最大でも100psオーダに限定されるため、自己格子間原子集合体の安定形態である積層欠陥転位ループ、完全転位ループの他、一部は実験では観察されない3次元不安定形状も形成していたが、高速化SEAKMCを適用し時間スケールを最大で2桁拡張することにより、3次元集合体が転位ループに変換していく過程が世界で初めて確認された。また、この過程を介して形成する安定形態の多くは、積層欠陥転位ループであることも明らかとなった。本研究で開発した高速化SEAKMCは、原子レベルの挙動に基づいて複数回の拡散過程を伴うナノ組織発達を解析する上で大変強力な手法であると考えられる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2024 2023 2022
すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
Scripta Materialia
巻: 240 ページ: 115821~115821
10.1016/j.scriptamat.2023.115821
Computational Materials Science
巻: 218 ページ: 111987~111987
10.1016/j.commatsci.2022.111987
巻: 229 ページ: 112389~112389
10.1016/j.commatsci.2023.112389
巻: 210 ページ: 111450~111450
10.1016/j.commatsci.2022.111450
巻: 215 ページ: 111806~111806
10.1016/j.commatsci.2022.111806